第468夜:本間留五郎のこけし
本間留五郎は明治42年、温海の生まれ。大正13年4月より鳴子の岡崎斉の弟子となり木地修業を始める。昭和15年11月に温海へ帰り木地業を営む。こけしは鳴子時代から作っているが、鳴子時代の作品は少ない上、大沼新兵衛として流布している。「こけし辞典」によれば『昭和16年ころの作は、下ぶくれの頭に繊細な筆致で御所人形を思わせるような端正な表情を描いた秀作であった』とある。写真(2)右は、先日ヤフオクに大沼新兵衛名で出品されたこけし。一見して、留五郎ではないかと思っていた。その次の週に本稿のこけしが出品されたのである。そこで、詳しく調べて見ると前述のように、鳴子時代の留五郎は新兵衛名で出ていたことが分かったのである。本稿のこけしは大きさ7寸で保存完璧、今描いたのかと思うばかりである。木地の木目が綺麗に出ている。胴底のラベルには「十六.六.十七 温海 本間留五郎 阪急」の記載がある。大きな前髪とそれに繋がるような長い横鬢。極細の眉毛に円らな瞳。眉・目は中央に寄り、僅かに丸みを持った鼻と口は下方に離れている。岡崎家の端正な表情ではあるが得も言えぬ独特の雰囲気を持っている。「こけし辞典」で『御所人形』と称せられた正にその時期のこけしである。しかもこの保存状態である。戦前の留五郎代表作と言って良いであろう。留五郎は戦後もこけしを作っていて比較的多く見かけるこけしであるが、今まで特に欲しいと思うことはなかった。ところが、この1本はどうしても欲しいこけしであった。運良く私の手元に来てくれたことを感謝したい。
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コメント
良いこけしですね!
投稿: しょ~じ | 2010年11月 1日 (月) 17時52分