第466夜:友の会10月例会
写真(2)は荒川洋一による写し2点。写真左2本が磯谷茂の原(左)とその写し(右)。写真右2本が氏家亥一の原(左)とその写しである。磯谷茂は中の沢の磯谷直行の義兄で、岩本善吉・芳蔵父子を職人として雇い、こけしを作らせた。工人ではないので、本稿のこけしは芳蔵作に茂の署名をしたものと思われる。氏家亥一は善吉の弟子で芳蔵とは兄弟弟子にあたるが、木地挽きだけでこけしは作らなかった言われ、本稿のこけしも描彩は善吉と思われる。
写真(3)も今月の新品頒布品。左端は井上はる美さんの春二写し。原は9寸7分で平成15年に写し初作が作られ、友の会では平成16年9月の例会で原寸頒布されている。それ以来の頒布で今回は7寸で久し振りの頒布。真ん中3本は高橋順子さんのキン型。鯨目と一側目の2種類があったが、鯨目も目の湾曲の強さが1本ずつ微妙に異なり、きつい表情からおっとりした表情まで、表情領域の広さに驚かされた。右端は星博秋さんの鶴松型で直胴と括れ胴の2種類。他に9月にも頒布され好評だった西山敏彦さんの豆こけし入りえじこ各種と伊豆徹さんの定雄古型が頒布された。
写真(4)は入札品。左から昭和10年代前半の新山福太郎。久松旧蔵品。弥治郎系の典型的なペッケ。筆には勢いがあるが、表情は可憐であどけない。2番目は大野栄治。赤い横鬢飾りは古い様式であるが、胴底の爪の跡と前髪の黒い半円の赤点から戦後作と推定される。3番目は佐藤文助作で昭和16年頃であろうか。4番目は大沼みつをの60才作。保存良く優しい表情。5番目は鈴木幸之助の33年作。細身の胴が魅力的。右端は岩本芳蔵の善吉型青坊主。他に48才作の阿部常吉、佐久間俊雄の地蔵型、酒井正進の昭和17年作、昭和30年代から40年代初め頃の伊藤松三郎が出品された。
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コメント
荒川洋一さんの作品は、滅多に見ることがありません。一本だけ手元にありますが、中の沢こけしはまた独特の魅力がありますね。西山敏彦さんの豆こけし入りえじこ各種も、羨ましいことです。東京こけし友の会、さすがに目の付けどころが素晴らしいです。
投稿: kuma | 2010年10月28日 (木) 09時50分
荒川さんの写しは秀逸でした。ただ限定品ということもあって4寸で1本3千円以上の価格は厳しいですね。その点、西山さんは豆こけし5本入りの小えじこが1個2千円以下ととても安価。作品もバラエティに富んでいるので幾つも欲しくなってしまいます。この厳しい経済状況の中では価格も購入の大きな要素になりますね。
投稿: 国恵志堂 | 2010年10月29日 (金) 08時13分