« 第456夜:友の会9月例会 | トップページ | 第458夜:昭二さんの岩蔵型(2) »

第457夜:初期作の魅力(大沼健伍)

Kengo_21sai_kao

最近のヤフオクは落札価の二極化が一段と進んできた。人気のないこけしが安価でも入札が入らないでいる一方、人気工人の代表作で状態の良いものは古品を遙かに上回る価格で落札されるものも出てきた。先日終わった文吉36年作、19万円はその最たるものであろう。今夜はその文吉と同じ出品者の大沼健伍のこけしを紹介しよう。このこけし(桜井昭二との2本組)も、思った以上に高値となってしまった。口絵写真は初期健伍こけしの表情。

Kengo_21sai_hikaku

鳴子系、大沼健伍は健三郎の長男で昭和12年の生まれ。昭和30年19歳より健三郎について木地を習得した。「こけしガイド(昭和33年11月発行)」で写真紹介されている。本稿のこけしは胴底に本人の署名で二十一才とあり、入手者の書き込みは33.4.9となっている。「ガイド」の解説では『最近こけしを作り出した新人』とあるから、本稿のこけしは極初期のこけしと言ってよいであろう。写真(2)で同時期の健三郎こけし(63歳、向かって左)と並べて見た。健伍のこけしを見ただけでは良く分からないが、こうして並べて見ると確かにその当時の健三郎こけしを引き継いでいるのが分かる。とは言え、頭の形、胴の形態、描彩と同じでないことは一目瞭然である。特に表情はあどけなく、健三郎の強い表情とは対照的である。このこけしでは、胴模様にも注目したい。菱菊模様の上部の横菊は健三郎と同様であるが、下部の正面菊は、菊というようりも楓をアレンジしたようにも見える。これは健伍の工夫によるものかも知れないが、あまり見かけたことがなく、面白い試みである。このような健伍のこけしも次第に健三郎こけしに近づいていき、このような独自性は陰を潜めてしまうのである。これは、一般的に他の工人の初期作にも言えることで、未だ上手くならない内のこけしにこそ、初期作の面白みが見られるのである。

|

« 第456夜:友の会9月例会 | トップページ | 第458夜:昭二さんの岩蔵型(2) »

鳴子系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/188678/49634068

この記事へのトラックバック一覧です: 第457夜:初期作の魅力(大沼健伍):

« 第456夜:友の会9月例会 | トップページ | 第458夜:昭二さんの岩蔵型(2) »