第473夜:初見のこけし(戦前~戦後初め)
鳴子系の松田初見は明治34年、鳴子の生まれ。大正2年に高野幸八の弟子となって木地修業を始める。大正9年に独立して開業した。写真(2)左は寺方旧蔵品で胴底に「昭和十四年十月 松田初見」と書かれた同氏のシールが貼ってある。大きさは8寸3分、両目の間隔がやや開いた端正な表情が秀逸である。「こけし辞典」掲載写真の右(昭和12年)と同様な表情である。「美と系譜」にも昭和12年作が載っているが、目の間隔が狭く、胴の菱菊模様の下の正面菊の描法がやや異なる。本稿のこけしでは正面菊の花弁が短いため花芯の周りに円状に白い空間で出来ている。真ん中のこけしは胴底には「鳴子こけし」とだけ書かれている。前髪や水引の形、口が右寄りに描かれていることから初見と判断した。「愛こけし」に載っている昭和17年頃の作が近いと思われるが、本稿のこけしの方が頭が大きい。右端のこけしは胴底に「松田初見作」の墨書きと「30.11.21」の鉛筆書きがある。顔の表情はこちらの方が「愛こけし」の作に近い。従って、戦中の昭和17年から30年くらいまで、初見の作風に大きな変化はなかったと言えるのかも知れない。このような状況は昭和30年代一杯続いたのであろう。
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