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第475夜:春二のこけし(昭和20年~30年代初め)

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第472夜で紹介した春二のこけしが届いた。春二のこけしは裸のままプチプチにくるまれ、ダンボ-ルの箱に入っていた。出品者は西荻窪のアンティークショップなのだから、裸のままではなく、やはりそれなりの紙に包んで欲しかった。木地に所々シミが出ていることと緑と紫の色がやや退色しているが、尺3分の大寸で頭は大きく、胴もボリュームがある堂々たるこけしである。これとほぼ同時期と思われるこけしを5年程前に入手していた。今夜は、そのこけしと比較しながら紹介したい。口絵写真は以前入手していた春二こけしの顔アップ。

Haruji_s29_hikaku

写真(2)右が今回入手したこけしで、真ん中は第438夜で紹介した昭和25年のこけし、左が2005年にヤフオクで入手したこけしで、昭和20年代から30年代にかけての春二が纏めて出品された時のものである。右と左は直胴とくびれ胴の違い、頭の形に違いは見られるが、表情は近くほぼ同時期の作ではないかと思う。大正時代から昭和40年代までのこけしが残っている春二のこけしは、木地形態、描彩ともバラエティに富んでいるが、その表情一つをとってみても変化が大きい。大正から戦前にかけては瞳がクリクリとした愛らしいこけしである。戦後も上瞼を1筆で描き、それに下瞼を2筆で描く瞳の大きいこけしが30年代前半までは続く。中央のこけしのように戦後も20年代中頃までは下瞼も水平であり、おとなしい表情であるが、20年代後半からは下瞼が釣り上がり気味になって、ややきつい表情となってくる。写真(2)左はその時期のもので昭和29年頃であろうか。この頃までは胴のロクロ線は黒が中心である。さて、写真(2)右のこけしであるが、先ず木地形態が美しい。左のこけしでは頭が小振りで横広でありやや胴長の印象を受けるが、右のこけしでは頭も大きく、胸元がくびれた太目の胴とのバランスも良い。瞳も左では顔の下方に寄っているが、右では顔の中央付近になっている。そして、何と言っても特徴的なのは瞳に睫毛が描かれていることである(第472夜の口絵写真参照)。睫毛と言えば盛秀が有名であるが、この春二の睫毛は盛秀のように大きくはなく、かすかに気持ち付いているようでいやらしさは無い。そして、この睫毛はややきつい表情を和らげ瞳に潤いと明るさを与えているのである。「愛こけし」に昭和30年作として、睫毛のついた大寸こけしが載っているが、両目の間隔が開いているせいか、本稿のこけし程の目の張りは感じられない。なお、右のこけしは胴のロクロ線に紫が多く使われており、左よりはやや後、昭和30年台初期のこけしと思われる。

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