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第469夜:小原こけし(亀寿戦前)

Kametoshi_s17_kao

小原こけしと言えば、その独特な描彩と形態から、小原温泉で本田鶴松・亀寿が製作し、その後継者に引き継がれているこけしの一群であることは良く知られている。私はつい最近まで小原こけしにはそれほど強い関心を持っていなかった。ところが9月の東京こけし友の会の入札で、戦前の小原こけしを入手したことから、急に興味が湧いてきた。そんな折、先日のヤフオクで戦前の保存の良い亀寿こけしが出品されたため入札に参加し、運良く落札することができた。今夜はその亀寿のこけしの紹介である。

弥治郎系の本田亀寿は大正8年、小原村の生まれ。本田鶴松の二男である。18歳より父について木地修業を始める。こけしは当初から作った。昭和12年(19歳)から横須賀で旋盤工をしていたが14年に帰郷。昭和16年には一時朝鮮に渡ったが、17年からは小原温泉にて木地業に従事した。

Kametoshi_s17_hikaku

写真(2)左は8寸で、胴底には「小原 本田亀寿 二十三才」と書かれており、シールには「十七.一.十 本田亀寿 大.松坂や」との記入がある。同右は5寸で「十七.一.十 小原 本田亀寿 松坂屋」と記入されたシールが貼ってある。2本とも、昭和17年1月10日に大阪松坂屋で購入されたものと思われる。従って16年の作であろう。保存状態はほぼ完璧、作られた当時の色彩を保っている。「美と系譜」には昭和15年頃の8寸ものが載っているが、それと比べると胸の部分に丸みが付いて全体的に柔らかい形態になっている。また、眉・目の湾曲がやや強くなり、眼点もやや大きめになって表情にも優しさが出ている。5寸の方もほぼ同様の作。8寸の方は前髪と眉がやや離れているが、5寸の方は近づいており表情も強い。胴模様はスカーレットの赤中心のロクロ線に中央部の2本の紫線がインパクトを与えている。2段に分かれて描かれた四つ花模様もぼってりとした筆致で好ましい。この2本は保存が良いために、色彩豊かな小原こけしの特徴を余すところ無く見せてくれる。貴重な戦前のこけしである。

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