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第488夜:伝伍のこけし

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先週末は1泊2日で西伊豆まで出掛けてきた。温泉に浸かり、太平洋に沈む夕日を眺めてきた。さて、先にヤフオクで久治のこけしを入手した時に、伝伍のこけしも入手できた。これまで伝伍のこけしは1本も無く、かと言ってどうしても欲しいという訳ではなかった。伝伍のこけしと言うと、胴が太く紡錘型の表情の乏しい目が頭に浮かび、あまり魅力を感じなかったからである、今回の伝伍は小寸で保存極美ということもあって、これなら1本あっても良いかと思って入札に参加したものであった。口絵写真は、その伝伍こけしの頭部。

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弥治郎系の佐藤伝伍は明治45年、弥治郎の生まれ、伝内の4男である。昭和2年から木地修業を初め、こけしも当初から作ったと言う。昭和7年に弥治郎を離れてからは、米沢、北海道の弟子屈、白布高湯などを転々とし、昭和14年に群馬県の新鹿沢温泉で木地業を営んだ。昭和18年頃出征し、20年3月に34歳の若さで戦死している。こけしは弥治郎時代と兄伝名義で出していた弟子屈時代、白布高湯に移ってから以降とに大きく別れる。胴が太く、下瞼のある紡錘型の目を描くようになったのは白布高湯以降である。

さて、本稿のこけしは大きさ5寸6分の作り付け、胴底は通し鉋で「十六.七.十二」と書かれたラベルが貼られており新鹿沢時代の作品である。胴は頭の径と同じくらいに太く、裾部が広がっている。胴上下に赤と緑の細いロクロ線を引き、その間に菊模様を描いている。特に最下部には手書きの赤い帯を畳み付きまで描き、その上部の紫の手描きの波線とが強烈なアクセントになっている。紡錘型の目も点のような鼻とおちょぼ口、ピンクのほお紅と相まって可憐な乙女を現している。やはり戦前の俤を濃厚に感じさせる愛らしい小品である。

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