第485夜:ピーク期とその周辺のこけし(久治と久志)
「木の花(第弐拾五号)」に連載覚書(24)として『久治こけし』が取り上げられている。その解説文では《ピーク期のこけし》として『昭和28、29、30年頃の作品。この時期のこけしは、戦後の特徴である面描の細さ、鼻の小ささにもかかわらず、眉・目がつり上がって力強く、集中度の高い表情をしており、胴模様も筆太に力強く描かれている。赤の前髪も勢いよく描かれており、表情、力強さ共に初期の作品に匹敵する出来の良い作品が多い。』と評されている。
写真(2)右が久治のこけし。胴底に「31.5.6」の書き込みがある。大きさ8寸5分。横広の大きな頭で胴とのバランスも良く、実に存在感のあるこけしである。「木の花」で述べられたピーク期の特徴を有しており、退色も殆どない保存の良さから、戦後の代表作と言っても良いであろう。このこけしでは、胴中央のロクロ線に赤の細線を多用しているのが珍しい。ロクロ線は赤と緑が中心であるが、首と首下および胴中央部の赤と緑のロクロ線の境界には紫を使ってアクセントにしている。写真(2)左は、ほぼ同時期と思われる久志のこけし。久志の戦後作については第160夜に昭和31年11月のこけしを記載しているが、本稿のこけしは頭の形や眉・目の描彩から、それよりやや古く31年前半頃と思われる。きつい表情は同時期の久治譲りであるが、眉・目の湾曲が久治より大きくなっている。また頭のベレー帽は真ん中の赤円を3本の緑の太いロクロ線で囲んでいる。このように緊張感に溢れた久治・久志親子のこけしも昭和32年以降になるとピーク後の穏やかな表情に変わっていくのである。
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