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第502夜:天理勘治復元秘話(2)

Yoshikazu_tenri_kanji_kao

今夜は昨夜の話の続きである。平成14年になって、友の会の友人から天理参考館発行(昭和47年)の「こけし」という小冊子を頂いた。勘治のこけしが載っているという。中を見ると確かにカラー写真で勘治のこけし(以後、天理勘治と称す)が載っていた。ただ、作者名の所は後から紙を貼って「鳴子系 高橋勘治」となっているので、当初は別人の作と思われていたのであろう。「木の花(第弐拾弐号)」の連載覚書「盛のこけし」の中で、この天理勘治は『・・・ともすると天理こけしのように新型の臭いのする表情のないものに陥ってしまう・・・、橘勘治は三日月形の目であり、天理こけしは下へ膨らむ形式で、トンボの目のようで様式化している。』と評されている。その天理のこけしをようやく確認することが出来たのである。口絵写真は、義一さんの天理勘治復元初作の顔アップ。

天理の写真を見てその実像が分かるにつれ、この天理勘治が「土俗玩具集」に載っている9寸勘治ではないかと思うようになった。と同時に、この復元作を誰かに作って貰いたいと考えた。しかし9寸勘治の復元作を作った福寿さんは既に亡く、この天理勘治の復元は柿澤是隆さんと高橋義一さんに依頼することにした。天理勘治の写真を原寸大に引き伸ばして、お二人に製作依頼をしたので14年の後半になってからである。その復元にあたっては、特に次の3点に注意して頂いた。①胴裾の鉋溝、②肩と肩の山部との境にある緑ロクロ線、③胴の2輪の正面菊の中央の花弁が、上は交叉しているが下は平行であること。このうち、①の鉋溝は写真を見ると鉋溝があるように見えたためお願いしたが、他の高勘のこけしに類例がないことから、是隆さんは疑問だとし、義一さんも違和感があるとのことであった。(後日、友の会が天理参考館の見学に出掛けて、この鉋溝が無いことが確認された)

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程なくして両人からのこけしが届いた。写真(2)が天理勘治の復元初作で、左が是隆作で、右が義一作。同じ写真から復元されたためか木地形態は殆ど同じと言える。顔の表情も良く似ていて、どちらの作か分からない程である。流石に、胴模様の菊花は両者の特徴が出ていて区別が出来る。この初作では、上記3点の依頼事項の通りに作られており、胴裾の鉋溝も入っている。写真(3)の胴裾部の太い緑のロクロ線と細い緑のロクロ線の間である。是隆さんのは極細い溝で触れば分かる程度、義一さんのはやや太く、写真でも分かる。この溝は現物には無いことが分かったため、以降の作には付けられていない。

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