第499夜:秋山清一のこけし
秋山清一のこけしについては第260夜で述べた。多くの文献に紹介されているのは昭和22年の作で、大きさは4寸から6寸程度、独特な楓模様と目尻の下がった垂れ目が特徴的なこけしである。今夜のこけしは正にそれと同型のこけしである。
写真(2)の右が本稿のこけし(大きさは5寸)で、左は第260夜で紹介したこけし(6寸2分)である。胴の形態は殆ど変わらないが、頭部は本稿のこけしの方が角張っている。顔の描彩も両横鬢の間隔が狭く、それと前髪とで囲まれた僅かな空間に、ちまちました顔を描いている。鬢は細く、眉、目の描線もぎこちない。どう見ても手慣れた描彩ではない。こけしを作り始めて間もない頃の作であろうか。それと比べると、左のこけしは木地形態、描彩とも手慣れて来ているのが分かる。第260夜では、左のこけしの方が古いのではと述べたが、これは逆であろう。ちなみに胴底は、右は鋸での切り離しであるが、左は鉋で仕上げてある。
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