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第512夜:善二の伊太郎型

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ようやく春めいてきたとは言え、寒冬の今年は未だ未だ寒い日が続いている。今日はせっかくの日曜であったが南関東では曇り空で日が差さず寒い1日となった。平日は写真が撮れないため、本ブログの題材を求めて棚を漁っていたら善二の小寸こけしが目に付いた。そこで、それを写真に撮り、今夜の話題とすることにした。善二の伊太郎型である。口絵写真は最初に入手した伊太郎型の顔アップ。

津軽系の佐藤伊太郎のこけしとして残るものは多くなく、そのためか伊太郎単独で語られることは少ない。「木の花(第拾号)」でも、斉藤幸兵衛の関連として取り上げられているくらいである。佐藤伊太郎は明治2年、温湯の生まれ。木地業佐藤伊助の長男である。生前の詳しい経歴などは分かっておらず、昭和6年に弘前市に移り、昭和12年に没している。(以上「こけし辞典」より)。従って、今残るこけしは昭和6年から12年の間に作られたものと推測される。

Zenji_itaro_s49_hikaku

写真(2)に善二作の伊太郎型(3寸)を掲載する。この内、製作時期がはっきりしているのは、向かって左端のこけしで昭和49年9月に民芸店「おおき」で購入したものである。署名はない。同時に8寸ものも購入している。このあたりが善二の伊太郎型の最初ではないかと思う。左端と左から2本目とは頭の形を除けば同じ作風と考えられる。特に左から2本目は、前述の「木の花」掲載の伊太郎A型3寸をモデルにしたものと推測される。 左端も同様と考えられるが、頭の形の違いは「原」を良く見ていなかったということか。右2本は木地形態も面描もやや異なる。特に表情が優しくなっている。2筆の口も下は下に凸となり、右端では中が赤く塗られている。「木の花」の4本の3寸こけしに同様の作は見られない。従って、伊太郎型ではあるが善二流にアレンジされたものなのかも知れない。

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