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第511夜:セン描彩のこけし

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南部系佐々木家のこけしは、東京こけし友の会のおみやげこけしで頒布された小寸の覚平のこけしを除いて殆ど持っていない。これまであまり惹かれる物が無かったからである。ところで先週のヤフオクに、佐々木家の古いこけしが出品されていた。何となく気になって出品作をよく見てみると、胴底に色々書いてある。いつも見かける覚平こけしとは異なる表情に惹かれて入札に参加し入手することが出来た。このこけしの入手を機会に、佐々木家のこけしを調べてみたので、紹介したいと思う。

佐々木家のこけしの作者といえば、佐々木与始郎、セン、覚平の名前が挙がる。但し、与始郎は描彩をせず、センは木地を挽かなかったから、与始郎木地セン描彩こけし、覚平木地セン描彩こけし、覚平木地描彩こけしの3種類があることになる。佐々木センは明治27年の生まれ。明治40年に与始郎と結婚し、義祖父与市の指導を受けて、与始郎の木地に描彩を始めたという。昭和26年与始郎の没後は描彩を中止していたが、34年から息子覚平の木地に描彩を復活した。セン描彩のこけしについては「木の花(第弐拾壱号)」の連載覚書『与始郎のこけし』の中で取り上げられており、それを踏まえて「こけし手帖(520)」の中でも小川氏が詳しく述べている。

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本稿のこけしは胴底に「南部系 九代目 覚平 お母さんエ」と署名されており、これは「木の花」によれば『・・・、これは覚平が記したもので、おかあさん(セン)が絵(顔の描彩)を描いたということを印したものだそうである。』と。また、このこけしには「せん 61.8.13」の書き込みもある。「手帖」掲載の小川氏の2本のセンこけしの内、右のこけしは昭和36年8月とのことから、本稿のこけしと同時期と言うことになる。目が小川氏のは中央寄りで、本稿のこけしはやや離れている点を除けば、木地形態、描彩とも殆ど同じと言って良いであろう。鼻が太く描かれているように見えるが、よく見ると、どうも小さい黒点で鼻の穴を描いたようにも見える。赤い口も上唇と下唇を描いたようにも見え、写実的な描彩なのかも知れない。向かって右の眉尻が上がっており、強く凛々しい表情をしている。

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