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第525夜:震災が運んでくれたこけし

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春のこけしシーズンの幕開けとなる「土湯こけしまつり」の中止が発表された。東北地方の広範な地域が災害を受け、東北新幹線などの交通機関の復旧が当面望めない状態では、致し方のないことなのであろう。さて、この震災で東北地方の方々を中心にヤフオクにも多少の影響はあったと思われる。戦前の良品を継続的に出品されている方も被害を受けたとのことで出品が中止された(現在は再開されたようである)。その出品者から唯一出品されていたのが今夜紹介する常川新太郎のこけしであった。4寸と2寸の小寸のこけしである。南部系であまり注目されない新太郎のこけし、この震災がなければ恐らく私の手元には届かなかったものと思う。

南部系の常川新太郎は明治40年、盛岡市の生まれ。仙台工芸指導所で木地技術を習得した後、一時、鈴木清の職人を勤めた。昭和11年に遠野に移り、そこで木地業を開業した。こけしは昭和12年に藤原政五郎を参考にして作り始めた。いわゆる戦前の新型こけしと言っても良いであろう。新太郎のこけしは、木地は新太郎ほか数人おり、描彩は弟の雄三郎である。

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写真(2)左4寸、右2寸である。2寸は作り付けであるが、4寸はキナキナ型のゆるい嵌め込みで、頭がクラクラ動く。新太郎の戦前作は「古計志加々美」に昭和13年作が、「こけし辞典」に昭和15年作が掲載されているが、いずれも細身でスマートな形態である。また「愛こけし」には戦後の32年作が載っているが、こちらも細身である。本稿のこけしは出品者特有のラベルが貼ってあり(但し、一部しか残っておらず、日付は分からない)、その他の出品作の年代から推測して昭和16年頃と思われる。この時期の新太郎こけしは、この写真のようにやや太めの瓢箪型をしていたのが分かる。そのせいか4寸という小寸にも関わらず存在感のあるこけしとなっている。2寸の方はまさにミニチュアこけしであり、胴底の畳付きまで丁寧にとられており、木地、描彩とも手抜きが一切されていない作品である。

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