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第518夜:こけし棚崩壊(東日本大震災)

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先ずは、今回の「東日本大震災」で被害を受けられた全ての方々にお見舞い申しあげます。11日(金)に発生した大地震は東京でも交通手段が途絶し、その日は職場泊まり、翌る12日は横浜までは電車が動いたものの、それから先はバスなどを使って何とか帰宅できた。やれ一安心と思いきや、こけしの置いてある3つの部屋はこけしと書物などが足の踏み場もないほどに散乱して、地震の物凄さを物語っていた。地震発生時、自宅には誰もおらず、怪我などなかったのがせめてもの幸いだった。口絵写真は頭が抜け落ちた盛のこけし。

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所蔵のこけしは扉付きの棚に収蔵して、必要に応じて取り出せるようにしているのだが、今回の地震では観音開きの扉を開けて中のこけしが飛び出してしまった。特に棚の上部に置いてあったこけしは扉の開いた棚から飛び出して落下し、下にあったこけし等に勢いよくぶつかってしまったようだ。写真(2)は下の棚から飛び出したこけしの上に、上の棚から落下したこけしが重なっている状況。上の棚には、安定が良く重くて倒れにくい勘治型(原寸)こけしを置いていたのだが、見事に全て落下していた。

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上部の棚の内、ガラス扉は開きやすいので、紐で結んでおいたお陰で、扉が全開することなく、棚の中で倒れたこけしは扉の隙間にひっかかって、何とか落下を免れていた。写真(3)がその状況。とは言え、紐を解いて扉を開けた瞬間に倒れたこけしが一斉に落ちてくるため、家人に扉を押さえていて貰い、慎重に扉を開けてこけしを取り出す必要があった。

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写真(4)に見るとおり、こけしの被害は、頭がとれたもの数体、打ち傷がついたもの数十体、染料が付着したもの数十体を数えた。頭の取れたものは中に入れられるものもあり、何とかできるが、顔に大きな打ち傷や染料が付いてしまったものはどうしようもない。染料が付着したものはロウ引きしていないものが多かった。ロウ引きのあるものは多少の染料がついても拭けば取れるものが多かった。結果として、普段の保管方法に問題があることを思い知らされた。当然と言えば当然のこと、傷ついてしまったこけし達には申し訳ない思いである。

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コメント

ひどかったです。
風呂に入れず電気ガスがないけれど無事で生きてます。
こけしの被害については、まだ確認できないでいます。
会社が電気が通ったので、いろいろ充電しにきました。
早く電気が通りますように。
そして同じ区内でも数キロ海よりの人たち、津波にのまれ
数百人亡くなったことを考えると、家の中がどうであろうと
家族が無事で良かったと、感謝せざるを得ません。

各地のこけし工人さんのところはどうなのでしょうか。
心配です。

投稿: kuma | 2011年3月13日 (日) 14時30分

kumaさん、ご家族の皆さん、ご無事で良かったです。東北の方は殆ど電話が通じず連絡が出来ないようです。津軽の奥瀬さん、阿保さんは問題ないとのこと。被災地の皆さんは生活の基盤が揺らいでいるので、こけしどころではないですね。まだ余震も多発しており、くれぐれもお気を付け下さい。

投稿: 国恵志堂 | 2011年3月13日 (日) 14時54分

中越沖地震では全てのこけしが棚から崩れ落ち、かつ骨董の皿までも数枚道連れにしてくれました。これは こけしが傷ついて、家族を守ってくれた そう思う事に致しました。この時は3ヶ月ほどそのままにしておきました。阪神大震災を豊中で経験し、また今回も・・・・
kuraさんのおっしゃる通り、無事であった事に感謝するのみであります。

投稿: ただちゃん | 2011年3月13日 (日) 20時15分

普段はあまり意識しないのですが、こういうことがあると、つくづく日本は地震国だと思いますね。ただちゃんさんはそれを身をもって体験しておられる。散乱したこけしを見て、被災地の惨状が目に浮かぶのでしょうか。こけしの産地は内陸なので津波の影響は受けないのでしょうが、同じ東北人としての思いは同じでしょう。一日も早い復興を祈るばかりです。

投稿: 国恵志堂 | 2011年3月13日 (日) 21時45分

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