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第538夜:庄七の青坊主

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菅原庄七は秋保を代表する工人で、その作るこけしは太い胴の上下に2本の緑ロクロを引き、大きな頭の頂上には「乙」の字を入れ、細かな鬢飾りともども華麗なこけしとして知られている。その一方で秋保温泉を訪れる一般客向けの愛らしいこけしも作っている。一側目で眼点の大きな愛らしいこれらのこけしは、当時の新型こけしと言えるだろう。頭をパステルカラー調の青色で塗っていることから、青坊主こけしと仮称したい。口絵写真はその青坊主の表情アップ。

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写真(2)右は昨夜紹介した古品15本の中のえじこ。左2本はヤフオクで戦前の良品を出品している常連の方からの落札品である。この青坊主は、その描彩の違いから2種類に分けられる。一方は、左のように前髪の無い青頭で胴には桃の模様を描く。他方は、真ん中のように前髪のある青頭で胴には梅(?)の模様を描く。そして、この2種類のこけしは、その他に写真(2)右のようなエジコと、肩に涎掛け状の鍔を付けたねまりこがある。また、左2品と同時に出品されていたこけしは胴に木の皮を残したものであった。こけしの木地形態は庄七の本型と大きな変わりは無く、あくまで描彩を描き分けていたと思われる。なお、花芯や葉の芯にはエナメルが使用されている。明るいパステルカラーは心を明るくしてくれる。震災後に眺めるには最適のこけしかも知れない。

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コメント

可愛いですね前髪の無い子は男の子、有る子は女の子、という描き分けでしょうか。(←故橘文策氏は、同様の描彩の「ねまりこ」のことを「胴にうつくしい桃や梅の模様を描いて、男女一対にしている」と云っておられました)

投稿: こけりん | 2011年4月16日 (土) 11時15分

確かに、男女ペアなんだと思います。何で男の子が桃で、女の子が梅なのかは分かりませんが…。エジコの方は表が梅で、裏には桃が描いてあります。最も、エジコは頭が回るので逆することも出来るのですが(笑)。

投稿: 国恵志堂 | 2011年4月17日 (日) 09時34分

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