« 第541夜:小松五平のこけし(戦前~戦後) | トップページ | 第543夜:友の会4月例会(H23) »

第542夜:正一のこけし(昭和30年代前半)

Syoichi_s32dai_kao

太治郎型のこけしは好きなこけしの1つなので、ヤフオクに出ているとつい気になってしまう。特に自分が考えている価格より安い金額で落札されそうになるとそのまま見過ごすことが出来ず、つい入札に参戦してしまう。今夜のこけしもそんな経緯で入手したもの。同時期の正一こけしは既に持っており、しかも出品作は尺1寸の大寸物。本来なら見送るべきなのだが、保存状態も良い正一が5千円程度で落札されるのが我慢できず、手を出してしまった。結果は6800円でゲット。このランクの正一なら、ほんの数年前でも1万円を切る価格での入手は考えられなかったものである。

さて、入手したこけしは大きさ尺1寸。胴底には「昭和三十二年三月六日(51才)」の署名がある。そこで、昭和30年代に入ってからの正一こけしを並べて見たのが、写真(2)である。

Syoichi_s32dai_hikaku

右から、31年8月5日、32年1月9日、32年3月6日、33年9月20日作である。この間は約2年の差がある。流石に1本ずつの比較では大きな差異は見つからないが、右端と左端、すなわち31年作と33年作では、かなり明確な違いが見受けられる。先ず、木地形態。31年作では胴が太く湾曲も少なめで、首回りも太い。均整のとれた姿態とは言い難い。これが33年作では首の部分が細くなり、その分胴の湾曲も大きくなって均整の取れたエンタシスの形になっている。一方、描彩では胴模様に変化はないが面描には変化が見られる。その中心は目の描法である、31年作では、上瞼と下瞼が目頭と目尻の部分でかなり接近している。これが33年作では、目尻の部分での開きが大きくなっている。その分は表情は、目尻の下がりが強調されてにやけた顔になっている。この4本、胴模様は太治郎の「本型」と言われるものであるが、正一はこの本型を好んで描いたようで、「古型」と称する赤ロクロ線と黒の返しロクロ線の模様はあまり見かけない。対して、弘道の30年代の作は「古型」が多い。太治郎の「本型」には首下のロクロ線が緑のものと紫のものの2種類があり、写真(2)右から2番目のように、正一も2種類を描いていたことが分かる。

|

« 第541夜:小松五平のこけし(戦前~戦後) | トップページ | 第543夜:友の会4月例会(H23) »

土湯系」カテゴリの記事

コメント

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/188678/51472340

この記事へのトラックバック一覧です: 第542夜:正一のこけし(昭和30年代前半):

« 第541夜:小松五平のこけし(戦前~戦後) | トップページ | 第543夜:友の会4月例会(H23) »