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第541夜:小松五平のこけし(戦前~戦後)

Gohe_s17_kao

震災で総倒れしたこけしは全て並べ直したのだが、ここのところの強い余震で再び転倒するはめになってしまった。倒れては並べ直しの繰り返しでいささかうんざりしている今日この頃である。さて、小松五平のこけしは好きなこけしの一つであり、残存数が多いためか入手する機会もよくあるのだが、どうも保存の悪いものが多い。今夜紹介する五平は、先の古品15本の中の1本、胴の状態は良いのだが、頭部は黒く煤けたようになっており、面描もかなり見え難くなっているのが何とも惜しい。

本稿のこけしは大きさ6寸2分、胴底に「秋田大湯 小松五平」と記載されている。五平のこけしに関しては第309夜で戦前作を、第310夜で戦後作を紹介している。写真(2)は右から昭和13、4年頃、昭和15,6年頃、本稿のこけし、左端が昭和20年代のこけしである。

Gohe_s17_hikaku

本稿のこけしは、同時に入手した他のこけしの年代から考えて、昭和17、8年頃と推測される。作行きは右隣のこけしに近いが、頭がやや縦に長くなり、胴は細くなってくびれも大きくなっている。木地形態的には左の戦後のこけしに移りつつある。面描では眼点が小さくなって、明敏さが薄くなってしまった。鬢飾りの根本は右隣の作では赤2筆描きであるが、本稿のこけしでは赤1筆描きとなって、戦後のこけしと同様になっている。戦前から戦後への過渡期の作風を示しており、昭和17,8年という年代として違和感は感じられない。

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