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第539夜:落穂拾い(阿部勝英)

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先日まで満開を誇っていた通勤経路の桜並木も、今日は桜吹雪が舞い、黄緑色の新葉が新緑の季節を告げるかのようである。あれほどの大震災にあった三陸海岸はどうなんだろうかと思う。友の会の例会を始めこけし関係のイベントが続々中止となり、ここのところ、こけしの入手はヤフオク(ネットオークション)のみとなってしまった。ヤフオクには古品から珍品、中古品に殆ど新品のこけしまで多種多様のものが出品され、大いに活用させて貰っている。状態の良い古品など、どうしても欲しいものには相応の出費が必要になるが、皆から注目されないものの中にも良いものは沢山」あり、こういうものを安価に入手するのもヤフオクの醍醐味の一つである。私はそれらを「落穂ひろい」と称してここでも紹介している。今夜は、先日入手した阿部勝英のこけしである。3本セットで出品され、他に入札者がなく1500円で私の手元に来たものである。口絵写真は、その勝英の顔アップである。

土湯系の阿部勝英は大正13年の生まれ。昭和27年に阿部シナ(故金一妻)の入婿となった。昭和43年2月から4月にかけて阿部一郎について木地修業、描彩はシナから習った。43年5月に鹿間時夫氏の指導で、鹿間治助28.7cm(「美と系譜」掲載)の写しを作り、6月には自己流に消化して傑作を産み出したと「こけし辞典」に記載されている。

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今回ヤフオクでこの出品作を見た時に何か見覚えのあるこけしだと思った。それは「こけし辞典」のカラー口絵写真「復元こけし(1)」の載っているもので、「阿部勝英(治助型、22.2cm、昭和43年9月、鹿間」と説明書きがある。鹿間治助を自己流に消化したこけしがこれなのだと思われる。入手したこけしは6寸4分、辞典掲載品よりやや小さく、頭も縦長となっているが、前髪とカセや太い眉、胴のロクロ線の配色はほぼ同一である。決して上手い描彩ではないが、それが却って素朴さや渋さを出している。その後、昭和48年から49年にかけて、勝英は「たつみ」の指導で治助の原品による復元を精力的に行い、治助型の継承者としてゆるぎない評価を得ることになる。本稿のこけしは、その出発点のこけしとして大切にしたい。

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