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第537夜:庄七のもんぺこけし!

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大震災から一ヶ月が経ったが、余震はまだまだ収まりそうにない。震度6弱や5強は当たり前になってしまった。本来なら、それだけで大地震なんだろうけど、余震ということで軽く見てしまう傾向がある。気をつけなければいけない。こけし棚の扉は開かないようにしたものの、ここのところの余震で中のこけしは倒れており、扉を開くと同時に雪崩を打って倒れて出てくる。このイタチごっこはいつまで続くのだろうと思いやられる。さて、先の古品15点に中に菅原庄七のものが2点あったので、今夜はそれを紹介したい。口絵写真は庄七のもんぺこけしの表情。

今回の古品15点の中で、胴底に菅原庄七という書き込みがあったのが2点あった。写真(2)右のえじこ(宮城秋保 菅原庄七と記載)と左のもんぺこけし(秋保 菅原庄七と記載)である。えじこはよく見かけるもので、別項で説明したい。問題は、もんぺこけしである。このもんぺこけし、書き込みがなければ、とても庄七作とは思えないのではないだろうか。

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もんぺこけしと言うと小野川の蔦作蔵のこけしが頭に浮かぶが、その他にも色々な工人がもんぺこけしを作っている。戦争が激しくなり、多くの女性がもんぺ姿になった頃に作られたのであろうか。「愛玩鼓楽」に山尾武治の前掛けこけし(昭和14年頃)が掲載されており、その解説で「髷、前掛けに胴全面花模様など、蔦作蔵のこけしを真似て作られたものであろうか」と書かれている。このことより、秋保で蔦作蔵のもんぺこけしを真似たこけしが作られた可能性は強い。そこで、もんぺこけしとえじこの面描をじっくりと眺めてみると、眉、鼻、口の両鬢の筆致が良く似ているのが分かる。確証は持てないものの、今のところは菅原庄七の「珍しいもんぺこけし」としておこう。

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コメント

頭の形、目付きや団子っ鼻と口付きで直ぐに「秋保だ!」とは判りますね。…初見です。面白い

投稿: こけりん | 2011年4月16日 (土) 11時05分

ほんとうに、庄七がこんなものも作っていたなんて面白いですね。当時の世相を反映したものなんでしょうが、未だ未だ色々あるのかも知れません。楽しみです。

投稿: 国恵志堂 | 2011年4月17日 (日) 09時28分

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