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第553夜:鳴子の通信こけし(大沼竹雄)

Takeoo_tushin_kao

昨夜に引き続き、鳴子の通信こけしの続きである。今夜は、通信こけしを知る切っ掛けとなった大沼竹雄のこけしである。これもヤフオクに出ていたもので、出品作を見た時点では、胴下部にねまりこが付いた入れ子のこけしだと思っていた。ところが手にとって見ると、どう頑張ってもねまりこは台の部分が胴に収まらない。経年変化で胴が縮小または台が拡大したのかとも考えられたが、逆に収まってしまったら、今度は抜けなくなってしまうだろうとも思われた。結局、鳴子に行って大沼秀雄さんに見て貰って、それが通信こけしだと分かったのである。口絵写真は竹雄の通信こけし2体。

Takeoo_tushin_hikaku

写真(2)は左から、小島正(昨夜紹介)、大沼竹雄2本、大沼秀顕さんの通信こけしである。小島正は木地は挽かなかったので、木地は大沼正雄(竹雄の弟)と思われる。竹雄2本の内、右の重ね菊のこけしは蓋なし。竹雄のこけしは、鳴子に秀雄さんを訪ねた折、「これは親父の郵便こけしです。」と言ってくれたので間違いないとは思うが、胴の描彩などは妻「みつを」かも知れない。竹雄は昭和15年1月に亡くなっているので、それ以前の作ということになる。

Takeoo_tushin_naka

写真(3)は胴を下から見た状態とねまりこのアップ。小寸ながら頭は嵌め込みになっていて回すことができる。胴の刳り抜きは肩の部分にまで達しており、底から頭の嵌め込み部分が見える。この大きさでここまで刳り抜くのはかなり難しいらしく、秀顕さんは何本か失敗して、ようやく1本だけ仕上げたとのことであった。ねまりこ3体を見て頂きたい。左から小島正、竹雄、秀顕作である。やはり中央の竹雄作が全体に手が込んでおり、形、描彩とも格段に優れているのが分かる。写真では分かり難いが、竹雄作では肩にきちんど段が入っており、赤と緑のロクロ線も引かれている。こけしの表情はおっとりして優しい表情であるが、このねまりこの表情は鋭く、風格さえ感じられるのである。

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