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第548夜:与始郎(セン)のエジコ

Sen_senzen_ejiko_kao

今夜も昨夜に続いて、ヤフオクで入手したエジコの話である。南部系については、照井音治型や藤井梅吉型など描彩のある混血型を除き、あまり関心がなかった。それが常川新太郎のこけしを入手してからにわかに気になるようになってきたのである。今回のエジコも、その素朴で愛らしい表情に惹かれて、今までなら見過ごしてしまったものを拾い上げたのである。口絵写真は与始郎(セン)エジコの顔アップ。

Sen_senzen_ejiko_moyou

写真(2)に示すように、本稿のエジコを見て先ず気になったのは、側頭部の赤い飾りと肩の部分を埋めるように描かれている花のような模様である。与始郎のこけしの面描は大寸物では、前髪と横鬢が繋がり、頭飾りは横鬢の後ろに複雑な花模様を描く。一方、小寸物では前髪と横鬢が離れ、頭飾りは前髪と横鬢の間に3筆の赤色で簡単に描かれる。このエジコでは、小寸こけしの頭部の描彩がそのまま使われている。

Sen_senzen_ejiko_hikaku_2

さて、エジコ上面の飾りを調べるために文献を見ていると、「らっこコレクション図譜」に近いものが載っていた。写真(3)右がそれである。No.485(2寸3分)昭和9年とある。本稿のエジコは3寸5分でやや大きく、「らっこ」よりはずんぐりしている。らっこは頭飾りも花模様を描いているらしく、それと同じ模様を肩上面にも描いているようだ。本稿のエジコの模様も何の花かは分からないが、花弁の多い花を4輪描き、その周りに葉を散らしたもののように見える。また、このエジコでは肩の段になった境目と胴下部の2本の細い緑の間に黄色の帯が残っている。

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コメント

前回からのえじこ、顔だけだと一瞬
首だけ??に見えてどっきりしますね。
見に行くとまるい胴があって、なるほど、と。
どれもまた風情があって愛らしいです。

投稿: kuma | 2011年5月 9日 (月) 19時18分

言われてみると本当にそうですね(笑)。えじこはこけしほど制約がありませんから思わずハッとしたり、首を傾げたりするようなものに出会います。そこが、えじこの楽しさ、面白さでもあるのでしょうね。

投稿: 国恵志堂 | 2011年5月10日 (火) 18時23分

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