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第558夜:「市井にひそむ逸品」(坂部政治)

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今夜は「市井にひそむ逸品」の第4弾で山形系の坂部政治のこけしを紹介する。信濃町(米沢)時代の小林吉太郎には多くの弟子がおり、戦前の第一次こけしブームの中、分業でこけしを作っていた。その多くは小林吉太郎名義で通っていたため、この時期の吉太郎こけしの真の作者を特定するのは難しい。坂部政治もその内の一人である。本稿のこけしは胴底に「米沢 坂部政治」と書かれているので政治のこけしとしている。口絵写真は、その顔アップ。

山形系の坂部政治(政次)は大正7年、山形県村山市楯岡の生まれ。昭和13年に小林吉太郎に弟子入りした。こけしは吉太郎の弟子であった昭和13年から16年の間に作ったものが知られている。面相は政治で、胴模様は吉太郎というこけしが多いという。(「こけし辞典」より)

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写真(2)右が本稿の政治のこけし(6寸5分)で、左は吉太郎と言われているこけし。首の部分が窄まった胴の形態は良く似ている。信濃町時代の吉太郎こけしの木地は、梅津春雄、藁科茂、坂部政治が挽いていたというから、木地は坂部政治であろう。胴模様は、「こけし辞典」に政治本人の描彩が載っている。横に筆を打ち付ける描法は似ており、胴模様も政治の可能性が強い。面描は、左が吉太郎とすると、右の政治は左右の目の間隔が開いて、ゆったりとした大らかな表情であり、吉太郎の目尻の上がったきつめの表情とは明らかに異なる。従って、本稿のこけしは木地、描彩とも政治のこけしと思われる。「こけし辞典」の掲載こけしは昭和16年2月とあるが、それより溌剌とした表情であり、昭和14年頃の作品であろうか。

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