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第561夜:ピーク期の健三郎

Kenzaburo_71sai_kao

朝から激しい雨が降る中、今日であの東日本大震災から3ヶ月が経ったことになる。余震も殆どなくなり、東京近辺では液状化の被害のあった一部地域を除いては、震災の影響は殆ど感じられなくなった。東北のこけし産地でも、存続が危ぶまれていた遠刈田のみやぎ蔵王こけし館が6月1日より開館し、原発事故の影響で誠孝さん一家、高橋通さんご夫妻が避難されているものの、一応の体制は整ったようである。さて今夜は、大沼健三郎のこけしを取り上げてみたい。口絵写真は健三郎71歳作の顔アップ。

Kenzaburo_71sai_hikaku

写真(2)右が本稿のこけしで、左は63歳のこけし(第160夜参照)である。本稿のこけしは大きさ6寸、胴底に「大沼健三郎 七十一才」の署名がある。71歳と言えば、中屋氏が「木の花(第拾九号)」の『ピーク期のこけし』の中で健三郎のピーク最盛期と指摘している年。4寸の立ち子がその対象として紹介されているが、定寸ものにおいても同様のことは言えるだろう。左の作とは8年程の隔たりであるが、作風は大きく変わっているのが分かる。63歳作では、特に顔の各パーツが大きく描かれており、大らかな雰囲気を持っている。一方の71歳作では、各パーツが小さく顔の中央に寄っており、眼点も小さくなって集中度の強い表情になっている。ピーク期のこけしには、ピーンと張り詰めたような緊張感が漂っており、見る方にもそれなりの心づもりが求められる。震災にあったような時にはそれはちょっときつい。むしろ左のこけしのようなのんびり眺められるこけしの方が心を癒してくれるのであろう。

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コメント

お年を召した頃の作品の方が
穏やかで優しいお顔。
同じ作者でも時期によってお顔も様々で
これもまた楽しい事ですね。
こうして見せて頂くことができるのは幸せです。

投稿: kuma | 2011年6月14日 (火) 07時24分

表情があまり変わらない工人も居れば、大きく変わる工人さんも居ますね。どちらも、その時々の工人さんの想いがこもっており、それを眺めて、その時の工人さんの気持ちに思いをはせるのも楽しいものです。ピーク期だとか佳作だとか言いますが、それは見る方が勝手に言っていることで、工人さんにとっては優劣はないんだと思います。特に好きな工人さんの色々な時期のこけしを眺めるのは本当に楽しいですね。

投稿: 国恵志堂 | 2011年6月14日 (火) 08時19分

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