第565夜:工人の智恵(高橋盛)
写真(2)が入手したこけし2本。大が7寸で小が6寸。大のこけしを良く見ていると、肩のところに小さな節穴があった。その節穴のところを下に見ていくと、緑の茎が描かれており、良く良く見ると茎に沿って縦に長い割れ目がある。そう言えば、盛こけしの胴模様で、こんなところに茎のある模様は見たことがない。当然のように隣の6寸こけしには茎は描かれていない。この茎は明らかに胴の割れ目を隠すために描かれたものと思われる。
写真(3)のその茎の部分を拡大して示す。昭和16年11月、戦争も次第に激、盛さんは智恵を絞ったのであろう。そして、その割れ目に沿って茎を描くことで、その割れ目を模様の中に取り込んでしまったのである。全く、先人の知恵に脱帽である。そう言えば、鳴子の胴を黄色く塗ったのは、木地のシミを隠すためだったとか。また、高橋忠蔵さんの胴に通常と異なる括れがあるのは、そこに在った節を削ったためだったとか、材料の木を大事にして無駄にならないようにこけしを作ったことが偲ばれるのである。
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コメント
この盛のこけしは、ずっと気にしていました。どうしょうかな、と悩んだのですが、結局今回は見送り。
Kさんのところに来たんですね。
よいこけしだと思います。
鳴子系のこけしが体系下されて揃っていきますね。
そのうち、是非見学させてください。
投稿: A | 2011年6月21日 (火) 07時21分
ありがとうございます。
好きなこけしはどうしても欲しくなってしまいます。
40年経ってもこの物欲からはなかなか解放されないですね。
お見せするには、未だ未だでしょうか(苦笑)。
投稿: 国恵志堂 | 2011年6月22日 (水) 08時13分