第556夜:「市井にひそむ逸品」(大内一次)
先ず、一次の略歴紹介。土湯系の大内一次は明治42年、福島県岳温泉の生まれ。大内今朝吉の長男である。大正13年、16歳で日光木地師の弟子となり木地修業。昭和4年、21歳で日光より戻り、父今朝吉から小物挽きを習う。こけしもこの時から作り始めた。初期のこけしは今朝吉に似て大きなカブラ頭であったが、昭和10年頃から頭が角張って縦長となる。カセは昭和14年頃から描くようになり、この頃、頬紅をつけたものも作った。
本稿のこけしは、大きさ6寸。胴底に陸奥売店の押印がある。角張った頭に小さな前髪、カセは描かれていない。眉目は湾曲が大きく、引き締まった張りのある表情が素晴らしい。赤と黄緑色のロクロ模様が胴にしっとりと馴染んで美しい。昭和14年頃の代表的な一次こけしと言うことが出来るだろう。
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