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第560夜:久太郎再び

Kyutaro_s10_kao

内容的には昨夜の久太郎こけしの続編である。敢えて2夜に分ける必要もなかったのだが、今夜のこけしは特出すべきものと考えて別にしたのである。実際には本稿のこけしは22日に落札しており、昨夜のこけしは3日後の25日に落札した。これも、同種のこけしが集まってくるという「こけし界の言い伝え」であろうか。本稿のこけしは最低価1万円で出品されて、結局私以外の入札はなかった。入札時点ではそれ程でもなかったが、手許に届いた久太郎は期待以上のものであった。口絵写真はその顔アップ。

出品作のコメントは『昭和10年頃 全長21cmいかがでしょうか』と極、簡単なもの。出品写真では、緑色がかなり退色しているように見えた。ただ、私が注目している「団子梅」時代のものであろうことと、今持っているこけしとは雰囲気が違う気がして入札したのである。

Kyutaro_s10_hikaku

写真(2)に、団子梅時代の作を並べて見た。左3本は昨夜と同じもので、右端が本稿のこけしである。昨夜の胴長こけしとも明らかに違うことがお分かり頂けると思う。先ず木地形態、胴は普通の太さで肩も丸みがある。頭は丸く、やや蕪気味でもある。胴の前垂れ模様を見て見ると、左の3本と比べて襟の描線が直線的であり、襟の合わせ目がかなり下、即ち両側の赤と緑の縞模様の繋ぎ目部分になっているのが分かる。左3本では襟の合わせ目は上方にあり、赤い縞模様の途中であって緑の縞模様までは達していない。表情にはどこかあどけなさというか戸惑いというか不安定なものが見られ、これも左3本の整然としてキリッとした表情とは違う。

Kyutaro_s10_binhikaku

写真(3)は頭部を横から見たところである。前髪に連なった横鬢が、他の3本と比べて相当太いのが分かるであろう。これらのことから、本稿のこけしは他の団子梅時代のこけしと比べて共通性が少なく、定着したものではなかったと思われる。出品コメントにある昭和10年迄遡れるかどうかは別として、久四郎模作時代から、久太郎自身のこけしを作るべく模索していた時期のこけしなのかも知れない。私が追求してきた「久太郎団子梅時代」の出発点を考える上で重要なこけしだと思っている。

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コメント

こけし会のホームページの中の7月18日は月曜日です。失礼ながら訂正のほどよろしくお伝えください。

投稿: | 2011年6月11日 (土) 17時25分

友の会HPの美轆展開催日の曜日誤り、修正致しました。
ご指摘ありがとうございました。

投稿: 国恵志堂 | 2011年6月11日 (土) 19時04分

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