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第586夜:庄七のえじこ(戦前)

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先週のヤフオクに戦前作と思しきえじこが5個出品されていた。いつもの「川越の旧家」からの出物だという。伊藤松三郎、秋山慶一郎、本間留五郎、白畑重治と作者不詳(秋保系)の作。この作者不詳が菅原庄七であろうことは直ぐに想像出来た。庄七のえじこは1個持っていたが、それよりは古そうでなかなかの良い出来。何とか頑張って入手したものが届いたので、今夜はそのえじこを紹介したい。口絵写真は、えじこの顔アップ。

庄七のえじこを文献で調べてみると、「木の花(第弐拾号)」の『連載覚書(19)庄七こけし』の12頁と「愛玩鼓楽」の『えじこ・ねまりこ』の1116番に写真掲載されている。この2個とも、胴模様は桃ないし梅で、胴上面には梅が描かれている。「木の花」作は昭和7,8年作、「愛玩鼓楽」作は昭和14年頃で、その解説では『裏模様は桃が描かれる。よだれ掛けの下で嵌め込まれ、くるくる動くように作られている。底は大きくえぐられている。』とある。

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写真(2)は本稿のえじこの胴底部と頭部の嵌め込み部を写したものである。胴底は大きくえぐられており、その中央部には丸穴が開いていて、嵌め込んだ頭部の底が見える。よだれ掛けの下の嵌め込み部は長く、ゆったり嵌め込まれているため、南部系のキナキナのようにグラグラ回すことができる。これらは「愛玩鼓楽」の記述と一致する。

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写真(3)は本稿のえじこ(右)を斜め上から写したところ。左は後年(戦後)のえじこ。本稿のえじこでは黒で縁取りした赤いよだれ掛けの中に何も描かれていない。「木の花」「愛玩鼓楽」掲載のえじこでは、写真(3)左のえじこのように、よだれ掛けの中に白で花芯(しべ)が描かれている。本稿のえじこでは、単に花芯を描き忘れたのであろうか? また、胴側面の模様は梅や桃の花を描くのが普通で、本稿のえじこのように麦わら模様は他に見たことがない。 そして、口絵写真を拡大して見て頂きたい。前髪と横鬢が細い筆で1本1本描かれているのが分かるであろう。「木の花」の解説では、大正末期の庄七こけしの項にその記載があり、この特徴は昭和10年まで続くとある。(それ以降は平筆使用)。このようなことから、本稿のえじこは、えじことしては極初期のもので、昭和1桁代の作と考えてよいと思われる。クリクリとした瞳が実に愛らしいえじこである。 

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