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第588夜:大野栄治のこけし(4)

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大野栄治のこけしは、数あるこけしの中でも特に人気のあるこけしであろう。そんなことから昭和40年代の後半から蒐集を始めた私にとっても入手は難しく、そのこけしを実際に手元に置くようになったのはそれほど昔からではない。それでも、最近はネットオークションなどのお蔭で入手する機会も増え、その経年変化を楽しめるようになったのは有難い。さて、今夜は先日のヤフオクで入手した栄治のこけしの紹介である。昭和32年の作で保存状態は完璧である。口絵写真はその栄治の顔アップ。

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写真(2)に同型の栄治梅こけしを並べて見た。向かって左が戦前作(昭和9年)で、中央は、20~30年代のこけしが纏めて出た時に入手したもの(第544夜参照)、右が本稿のこけしである。栄治の戦後のこけしは昭和26年頃から始まり、26,7年頃には平頭の佳品を作り上げ、栄治こけしの中でも高く評価されている。

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写真(3)は写真(2)の胴底である。胴底の鉋の爪跡は栄治こけしの年代を識別する手がかりとなっている。左は戦前で、4本の爪跡が全て平行、真ん中の爪跡は3本は平行で1本がそれと垂直、右では鉋の爪跡は無く、丸く1段下げてくりぬいてある。30年代の栄治こけしの胴底は殆どこの様式で、その中に署名を書き込んでいる。真ん中は爪跡はあるが、署名の形式は右と同じ。真ん中から右への移行が伺われる。頭のベレー帽の色は、左2本は紫で右は黒。ベレー帽の色が紫から黒に変わるのは、583夜で紹介した伝喜のこけしも同様。退色防止の意味もあったのであろうか。胴のロクロ線も、中央は赤、緑、紫の3色であるが、右ではそれに黒が加わる。このように見てくると、中央のこけしは昭和30年頃のものでないかと推測されるのである。この3本を形態的に見て見ると、だんだん胴が太ってきているのも分かる。右のこけしでは、ちょっと太り過ぎかなとも思えるのだが、どうだろうか。やはり、26、7年の作が欲しいものである。

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