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第614夜:保裕さんの広喜型

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津軽こけし館での工人フェスティバルで見たこけしの中で、特に強い印象を受けたのは、遠刈田系の佐藤保裕さんのこけしであった。保裕さんは、9月の全国こけし祭りコンクールで最高賞の文部科学大臣賞を受賞し、10月のみちのくこけしまつりでも農林水産大臣賞を受賞したことからその出来映えには注目していたが、期待に違わず素晴らしい出来のこけしが並んでいた。両コンクールでの受賞型をはじめとして、各種の広喜型と自身の工夫を加えた本人型とがあったが、いずれも力の入った秀作であった。口絵写真は鳴子で最高賞を取った広喜型の顔アップである。

Yasuhiro_hiroki_s14_hikaku

写真(2)の右は工人フェスティバルで入手した鳴子での最高賞受賞型のこけしで、左はその1週間後の友の会10月例会で入手したこげす型である。右のこけしに関して、保裕さんの話では、広喜の昭和14年頃の作の写しで、顔が狭くなり目鼻が中央寄りになって筆致の鋭いのが特徴とのこと。帰ってきてから文献を調べると「らっこコレクション図譜」の232番の9寸3分(昭和14年)が大きさ、胴模様などの描彩から元になったこけしのように思われる。向かって右眉の筆の勢いが特に素晴らしい。保裕さんはこれまで各種の広喜型を作ってきたが、ほぼ自己のものとして習得したようだ。左は「こけしの世界」の266番の4寸8分(昭和14年頃)を写したものであろうか。こちらも小寸ながら勢いの感じられる秀作である。

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写真(3)は工人フェスティバルで入手したこけしを持って写真に収まって貰ったもの。保裕さんは、今最も旬な工人の一人と言えるだろう。

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