第617夜:日下源三郎とその写し
日下源三郎は明治16年頃、宮城県刈田郡七ヶ宿の生まれ。大正3年頃、小林倉吉の弟子となり木地修業を行った。大正12年頃、山形で独立したが、その後米沢に移って開業したが、昭和19年に没した。倉吉の弟子時代からこけしを作っていたと言われるが、現存するのは米沢に移ってからのもので、昭和10年以降のものである。米沢では小林吉太郎の世話になっており、その作るこけしも吉太郎の影響を多大に受けている。
写真(2)左が源三郎のこけし。大きさは6寸。木地形態、胴模様など、吉太郎の影響が大きいのが良く分かる。但し、面描は細く、目は湾曲が少なく切れ長で、この辺りに倉吉の面影を感じなくもない。源三郎のこけしは、一時、小林清次郎が源三郎型として復元したことがある。同じ米沢在住であり、吉太郎型を作っている長谷川正司さんに、この源三郎の写しをお願いした。正司さんが源三郎型を作るのは初めてであり、面描の筆致が吉太郎とは違うので手間取ったようである。特に、正司さんの吉太郎型は筆が太いため、細い面描の源三郎型は苦労したとのことであった。右3本が、その源三郎写し。「原」の直ぐ隣りのこけしはかなり忠実に写したものだと思う。右のいくに従って、筆が走ってきて、吉太郎型の筆致に近くなっている。吉太郎のきつめの表情とは正反対の穏やかな表情を良く再現してくれたものと思う。正司さんには感謝である。
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