第634夜:俊雄の孫持ちこけし(2)
写真(2)左が第372夜で紹介した孫持ちこけし、右が今夜紹介する孫持ちこけしである。先ず、親こけしは大きさ6寸余りで髷付きと坊主の違いはあるが、胴の形態とロクロ線模様はほぼ同一である。また、子こけしは3寸1分の坊主で木地形態、胴模様とも全く同じである。孫こけしのみ、左は髷の1本であるが、右は髷と坊主の地蔵型の2本となっている。木も親は同じ桜材であり、この2種が同時期に作られたものと思われる。
写真(3)で、右のこけしを詳しく見てみよう。孫こけしは、大きさ1寸の豆こけしであるが、木地形態、描彩とも実に丁寧に作られている。俊雄の木地技術、描彩の非凡さが垣間見える。親こけしの頭にはガラが入っており、6寸のこけしの中に持てる力を全て注ぎ込んだような手の込んだこけしなのである。このように、由吉-芳衛-芳雄-俊雄と引き継がれた湊屋の直系が絶えてしまったのは何とも惜しまれることである。
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コメント
個人的に、とても好きな顔とフォルムのこけし、と、ほれぼれ眺めさせて頂いていました。しかも仕事の見事さ。孫持ちこけしでこんなにかっちりと充実した作品を残してくれた俊雄さんに、尊敬と感謝を込めて。
投稿: kuma | 2011年12月26日 (月) 08時43分
kumaさん
コメント、ありがとうございます。
俊雄さんは晩年、病的とも思えるような形態、表情のこけしを作るのですが、この頃は素直で微笑ましい表情が良いですね。残るこけしを大切にしたいものです。
投稿: 国恵志堂 | 2011年12月28日 (水) 21時11分