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第636夜:小松五平の兄弟こけし

Gohe_s15_kao2今年も余すところ3日となった。第309夜で戦前(昭和15年頃)の小松五平のこけしを紹介した。そのこけしは胴下部に水濡れ跡があり、同型の完品こけしが「ぽっぽ堂こけしギャラリー」に掲載されていると記載している。今回、そのこけしを入手することが出来たので、並べて紹介したいと思う。全く同型と思っていたが、実際に手にしてみると異なる部分もあることが分かる。「双子のこけし」という訳にはいかにので「兄弟こけし」というタイトルにした。口絵写真は、その五平こけしの顔アップ。

Gohe_s15_hikaku2

写真(2)右が309夜で紹介したこけしで、左が今回入手したこけし。大きさは共に尺で、材質も同じ。胴底は4つ爪で陸奥売店の印が押してある。木地形態は右の方がやや太く、左の方がスマートである。胴模様では、下部の正面菊が右はほぼ正円形であるが、左はやや縦長となっている。面描では、右は前髪も大きく顔の面積も広く、眉・目も左右に開いてゆったりと描かれている。一方左は前髪も小さく、その分顔の面積も狭くなって、眉・目も中央に寄っている。そして、明らかな違いは頭頂部の水引にある。

Gohe_s15_mizuhiki2

写真(3)に頭頂部を示す。右のこけしでは、鬢飾りの他に頭頂部に4つの赤い飾りがついているが、左のこけしは鬢飾りだけである。手持ちの五平こけしは左手のもので、右のような水引は珍しい。この2本のこけし、陸奥売店の印から昭和15年前後の作と思われるが、胴の形態や描彩の違いから同時期の作とは思えず、やや製作時期に幅があるのではないかと思う。

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