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第627夜:さらに吉太郎

Kititaro_rokuro_kao 12月に入り、急に師走らしい寒さが襲ってきた。今年は寒暖の差が激しいので、皆様も風邪などひかぬようご注意されたい。さて、昨夜は、信濃町時代の吉太郎こけしに関して、その特徴を描彩者を含めて検討してみた。手元に、以前、友の会の入札で入手した吉太郎こけしがあるので、今夜はその吉太郎と昨夜の吉太郎を比較してみたいと思う。口絵写真は今夜の吉太郎の顔アップである。

Kititaro_rokuro_hikaku

写真(2)に手持ちの吉太郎を並べてみた。左の2本は昨夜も紹介したもの、右から2本目は第91夜で紹介したもの、そして右端は本稿のこけしである。結論から言うと、左2本は信濃町時代の作であるが、右2本はそれより前の仲間町後期(昭和10年から14年頃)ではないかと思うのである。右2本と左2本とでは幾つかの異なる点があるからである。

Kititaro_rokuro_kase

写真(3)に上記4本のこけしの左側頭部を示す。吉太郎の頭頂部の模様は、前髪とその後ろの一筋の黒髪の間に赤いカセを描くのであるが、そのカセは中央の一筆が長く後頭部まで巻いており、その前後に短い飾りが赤線で引かれる。この赤い飾りの内、前方のものは右が3筆で左が2筆となっているのが吉太郎の特徴の1つでもあるのだが、信濃町時代になると、左右両方とも3筆となるのである。写真(3)はこのことを示しており、右2本が2筆、左2本が3筆となっている。(後方の赤い飾りも通常は2筆であるが、信濃町時代では左から2本目のように3筆のものもある) 鬢飾りについても、左2本は寝ているが、右2本は鶏冠のように立っている。

Kititaro_rokuro_sokoana_2

写真(4)は上記4本のこけしの胴底部である。右2本は鋸での切りっ放しであるが、左2本は中央部に穴が開いているが、これは旋盤でセンターと取った跡で、これも信濃町時代の特徴でそれ以前の作との鑑別点となっている。

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