第632夜:磯谷直行型のこけし
磯谷直行は明治33年、福島県耶麻郡吾妻村の生まれ。15歳で小学校を卒業後、姉婿磯谷茂の山市商店で職人をしていた海谷七三郎に就いて木地修業をした。昭和3年頃まで海谷七三郎の下で働いたが、昭和7年12月、事故で死亡。33歳。直行のこけしには、直胴型とこげす型の2種類がある。直胴型の内、頭が角張ったものは「古型」と呼ばれ、特徴的である。
写真(2)右が直胴型(古型)8寸2分で荒川洋一作。胴裏に「愛玩鼓楽 発刊記念」の押印があるので、昭和60年の作。「原」は「こけし辞典」に写真掲載されている鈴木鼓堂蔵品か。写真(2)左はこげす型5寸で本多信夫作。55歳の署名があるので、昭和48年頃の作。直行のこけしは遠刈田系の影響が強いが、中の沢温泉で作られていたため、中の沢の工人によって、その復元作が作られたのも納得が出来る。洋一、信夫の両こけしとも、直行こけしの特徴を良く捉えており、成功作と言えるだろう。
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コメント
磯貝さんのこけしは、11月初旬に猪苗代の「たこ坊主のすべて」展で見て来たばかり。
タイムリーな掲載で嬉しく拝見しました。ユーモラスでひょうひょうとして、一風変わった作風のこけしで、個人的にとても好きです。さんの作、初めて見ました。ありがとうございます。
投稿: kuma | 2011年12月19日 (月) 12時31分
kumaさん
ご無沙汰しております。
「たこ坊主のすべて」展、行かれたんですね。
磯貝(磯谷が正しいそうですが)さんのこけしがありましたか。
私は、原物は見たことがないので、復元作で作風を知るだけですが、確かに飄々として何とも言えない味がありますね。
頭が角張って大きいこけしは円空仏を連想させます。
投稿: 国恵志堂 | 2011年12月19日 (月) 19時03分