第637夜:忠のこけし(2)
忠のこけしを文献等で眺めていると、味わいの異なる2つのタイプがあるように思える。1つは、胴は太めで、表情は前髪が大きく眉・目は鋭角的で、下目のはにかんだような表情のこけしであり、大寸物に多い。もう1つは、胴は細めで眉・目の位置が高く、溌剌とした表情のこけしである。
写真(2)左は第566夜で紹介したもので、前者の特徴を備えているもの。そして、写真(2)右は本稿のこけしで、後者の特徴を備えているものである。忠のこけしは昭和10年頃からのものが知られているが、前者の方が古く、後者の方は新しいようだ。前者は昭和13年頃までに多く、後者は昭和14、5年と思われる。前者に比べ、後者は洗練された感じがあり、戦前のこけしブームで作り慣れた結果なのかも知れない。写真(2)右の作は、胴模様も珍しい。忠の胴模様は、写真(2)左のような菱菊が多く、中・小寸ものでは楓模様も描かれる。しかし、本稿のこけしの胴模様は、旭菊のように描かれており、他の鳴子系工人にも類例を確認出来ない。戦前の胴模様の多用さを示すものとして興味深い。
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