第633夜:笹森さんの弦三幸兵衛(2)
今回の改良点は2つ。1つは頭を大きめにすること。もう1つは表情、特に眉・目の描彩を「原」に近くすることであった。写真(2)中央が前回作(10月作、桜材)で、右と左が今回作(12月作、左が桜材、右がイタヤ材)である。
髷のない坊主頭で直胴ロクロ線模様の幸兵衛こけしは、橘文策著「木形子談叢」224丁の写真に載っているように胴に比べると頭が小さく、笹森さんはこれまでこの形態を踏襲していた。しかし弦三コレクションの大寸幸兵衛2本(尺5寸、尺3寸)は、それらと比べて頭が大きく胴の太さに近くなっている。笹森さんも、これは弦三コレクションだけではないかと話していた。そこで、頭を従来よりも一回り大きく作って貰ったのが写真(2)左右のこけしである。中央のこけしと比べてみると、大きさの違いが分かる。私としては今回の作の方が全体のバランスも良いように思うのだが・・・。
さて、もう1点の顔の描彩である。先ず、眉が一段と太くなったのが目に付く。また、目の瞼の輪郭線の筆法が変わっている。特に左上瞼の描法である。中央のこけしでは、単に丸い山状に描いているのだが、今回の左右のこけしでは、山に角が付いているのである。この眉と目の描法は、より「原」こけしに近く、甘みのない迫力のある表情となっており、「原」を彷彿させる。笹森さんに無理を言って作って貰った弦三幸兵衛写しは、私の期待に違わぬ素晴らしい出来のこけしになったと思う。
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