第641夜;佐藤養作のこけし
鳴子系の佐藤養作は明治42年、宮城県栗原郡金田村の生まれ。養作は母の実家の縁から、高等小学校を中退して高橋武蔵について木地修業をした。「高亀」には大正12年に弟子入りし、年期明け後職人をした後、昭和7年に天野正右衛門を頼って山形県東根に移り、その後転業。戦後、川上克剛氏の奨めで昭和42年から描彩のみで復活した。復活後の文献での紹介は、「こけし手帖93号」の橋本正明氏による『佐藤養作』に掲載されている。描彩復活作の木地は会田栄治(川上氏)や秋山忠市(橋本氏)のものがある。
写真(2)が本稿の養作こけし。大きさは6寸。胴底に鉛筆書きで「(伊藤)文博木地」とある。文博は木地挽きのみで、岡崎斉、大沼誓について木地修業をしているため、高亀系の木地形態にはなっていない。「山形のこけし」には、復活初期の昭和43、44年作の他に、昭和52、55年作も載っており、眼点がやや大きくなっている点など、本稿のこけしは55年作に近い。もともと、素朴でおっとりした表情のこけしであり、その雰囲気は保っていると思う。
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