第659夜:好秋のこけし(戦前作)
遠刈田系の佐藤好秋は明治39年、遠刈田新地の生まれ、佐藤松之進の次男である。大正8年、14歳より松之進について木地修業を始める。大正12年、蔵王高湯で職人をし、こけしの描彩もしたという。「こけし辞典」によれば、『現存品は昭和8年以降のものらしく初期のものは比較的数が少ない。全体に泥臭く剛直な作風で、丸頭に猫鼻を描いたものが多い。』とある。「古計志加々美」には、昭和13年作の二側目と昭和16年頃の一側目が載っている。
写真(2)が本稿のこけしである。大きさは5寸5分。好秋の戦前の作例は少なく、特に二側目は「古計志加々美」くらいである。丸頭に猫鼻という戦前の特徴を備えているが、鬢飾りが横に水平ではなく後下がりになっている点が「加々美」の16年頃の作と同じことから、本作も昭和16年頃の作と考えられる。眉の筆致には勢いがあるが、右目の下瞼がやや下がり気味なため剛直さには欠けるようだ。しかし決して甘い表情ではなく、戦後の表情との違いは大きい。
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