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第659夜:好秋のこけし(戦前作)

Yoshiaki_s17_kao今朝は今年一番の冷え込みとなり、東京、横浜でも最低気温が氷点下となった。そのため先日降った雪が至るとこで凍ってしまい歩くのに難儀であった。もっとも昼間は日が差したお陰で気温も上がり、マフラー無しでも外を歩くことが出来た。さて、今夜も先日入手した古品である。出品写真を見た時点では、松之進かと思うこけしがあったが、原物を見て松之進では無いことは分かり、「遠刈田不明こけし」としたところ、S氏より「好秋」だというコメントを頂いた。迂闊であった。そう言えば好秋は松之進の息子であった。その戦前作を見過ごしていたのである。という訳で、今夜は好秋のこけしである。口絵写真は、その表情である。

遠刈田系の佐藤好秋は明治39年、遠刈田新地の生まれ、佐藤松之進の次男である。大正8年、14歳より松之進について木地修業を始める。大正12年、蔵王高湯で職人をし、こけしの描彩もしたという。「こけし辞典」によれば、『現存品は昭和8年以降のものらしく初期のものは比較的数が少ない。全体に泥臭く剛直な作風で、丸頭に猫鼻を描いたものが多い。』とある。「古計志加々美」には、昭和13年作の二側目と昭和16年頃の一側目が載っている。

Yoshiaki_s17

写真(2)が本稿のこけしである。大きさは5寸5分。好秋の戦前の作例は少なく、特に二側目は「古計志加々美」くらいである。丸頭に猫鼻という戦前の特徴を備えているが、鬢飾りが横に水平ではなく後下がりになっている点が「加々美」の16年頃の作と同じことから、本作も昭和16年頃の作と考えられる。眉の筆致には勢いがあるが、右目の下瞼がやや下がり気味なため剛直さには欠けるようだ。しかし決して甘い表情ではなく、戦後の表情との違いは大きい。

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