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第670夜:善二の幸兵衛型(米浪手)

Zenji_kobe_s40_kao

今日は天気は良かったものの、気温はこの冬一番の寒さだったと言う。ここのところ確定申告の手続きなどもあり、本ブログの更新も1週間程滞ってしまった。それらの作業も一段落したので久し振りにこけしの整理を行い、今夜は佐藤善二の幸兵型を取り上げることにした。善二の幸兵衛型については、第61、62、292夜にて、その初期のこけしについて解説をしているが、61夜の型(米浪手)について、その後の作風の推移を見てみたいと思う。口絵写真は、昭和40年頃の幸兵衛型の表情である。

Zenji_kobe_s40_hikaku

写真(2)の左2本は第61夜で紹介したもの。「こけし 美と系譜」にも掲載されている昭和37年の作である。真ん中のこけしは他の4本と比べるとやや雰囲気が異なるのであるが、それは頭が長いことと目の描法にあると思う。ただ、別の幸兵衛こけしを写したとも思えないので、同列に扱っている。眉・目とも描線が細めで丁寧にきちんと描いている。特に目の描法は左2本では、眼点の入れ方も含めて左右でやや違いがあるのであるが、真ん中では左右殆ど同じになっている。胴の牡丹模様は、中央が大きく横の花弁が小さくなっている。また、胴上下のロクロ線の内、一番内側の紫線が1本に減っている。年代は40年前後であろうか。右から2番目は胴底に「42.4.28」の書き込みがある。頭の縦長は短くなり丸みを帯びてきた。面描は眉が太くなり、雰囲気は37年作に近くなっている。胴模様の牡丹は、向かって左の花弁が3筆から2筆に減り、大きさも小振りとなっている。その反面、緑の添え葉は大きく上下に延びてきた。右端は40年代の後半の作。目の描法は37年作を模しているが左目がやや上にあがる。また口も左上がりとなる。これ以降は、この表情が続くことになる。胴の牡丹は花芯の緑点が3つに増え、添え葉は一段と大きくなる。また、上下のロクロ線は内側の赤線が2本から1本に更に減ってしまった。胴模様だけを見ても、ロクロ線が減り、牡丹も簡略化され、味わいの薄いものになってきているのが分かるのである。

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コメント

更新心待ちにしておりました。

いつ見ても国恵志堂さんのコレクションの素晴らしさには感嘆いたします。
こけし道の奥深さよ!

今日は土湯の「日本一の雛こけし」お披露目セレモニーに行って来ました。
土湯の工人さんたちの心意気がギュッと詰まった作品に感動しました。
行く先々で甘酒を振る舞って頂き温まりました。

山根会津屋さんで一番下の棚にひっそりと居た新山久志さんの作を購入。
工人録「新山慶志」さん出品の向かって左側のタイプです。

めんごくて気に入りました。                                                              

投稿: ピノ助 | 2012年2月18日 (土) 20時43分

追伸

銘には「久志作・六十五才」とあります。
昭和何年頃になるのでしょうか?
教えて頂ければ幸いです。

投稿: ピノ助 | 2012年2月18日 (土) 21時01分

ピノ助様
おはようございます。
土湯ではそんなセレモニーがあったんですか。知りませんでした。
土湯の温泉街も昨年は寂しい状況が続いていたようですが、
今年は賑やかになって欲しいものです。
さて、久志さんは大正4年の生まれなので、65歳というと昭和55年でしょうか。ちなみに久志さんは59年の3月3日に亡くなっています。雛こけしのセレモニーで雛祭りの日に亡くなった久志さんのこけしを手に入れたというのも何かの縁なのでしょうね。

投稿: 国恵志堂 | 2012年2月19日 (日) 09時19分

ご回答ありがとうございます。

そうなのですか・・・「縁」を感じます。

山根会津屋さんには度々お邪魔しておりますが、18日はちょうど大阪からのお客様(バイヤーの方?)がいらっしゃっていて忠雄さんも奥様も応対に忙しく、私は所在なく店内をフラフラ歩いておったのです。
そして発見、と。

国恵志堂さんに教えて頂けて嬉しさ倍増です。

そう言えば大阪の方に「ここに置いておくよりも売れると思います」と言われた忠雄さん。
「ここに置いておいても売れるんだよ!」と反論してました。
私は内心ガッツポーズ。

投稿: ピノ助 | 2012年2月19日 (日) 15時11分

ピノ助様
そうですか。忠雄さんのお店でね。
大阪のバイヤーが来ていましたか。
忠雄さんも注文が多くて忙しいんでしょうね。
忠雄さんらしい反論ですね。
面白い!

投稿: 国恵志堂 | 2012年2月19日 (日) 22時50分

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