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第668夜:「たんたん」訪問

Takano_s20dai_kao昨年暮れ、高幡不動の茶房「たんたん」から1本の鳴子系のこけしをお預かりした。署名は無く誰の作か分からないとのこと。私は鳴子系が好きなので色々調べて、預かったこけしと一緒に結果をお話ししてきた。「たんたん」は以前から知っていたものの、なかなか訪問する機会がなく、今回ようやく実現した。お店は京王線の高幡不動駅から高幡不動に向かう途中にあり、歩いて2分程。お店の主体は珈琲喫茶店であり、美味しい珈琲を味わいながらのこけし談義は、こけし好きには至高の楽しみである。口絵写真は、お預かりした「鳴子不明こけし」の表情である。

Tantan_iriguti

写真(2)左が「たんたん」の入り口。看板の左側の道の突き当たりが高幡不動駅。看板の後の階段を上がると、写真(2)右の入り口になっている。看板にも暖簾にもこけしの絵柄が描かれているので分かり易い。

Tantan_naka

写真(3)が「たんたん」の内部。一面の壁にこけしが並んでいる。手前に大きなテーブルと椅子が置いてあり、ここで、店主がひいて入れてくれた珈琲を飲みながら、こけし談義に話が弾む。年に数回あるこけしの即売会の時には、テーブルの配置換えがあり、沢山のこけしが並ぶと言う。隣にも喫茶室がある。

Takano_s20dai

写真(4)は「鳴子の不明こけし」。ご主人の見立ては高野叔夫ではないかとのこと。高野叔夫は昭和11年、鳴子の生まれ。昭和27年より大沼健三郎、佐藤俊雄の指導により木地を修業したが、こけしは見取り学問である。昭和36年には転業したとあるので、作品は少ない。写真掲載も、「こけし辞典」、「こけしガイド」、「東北のこけし」くらいで、特徴を抽出するのは難しい。3枚の写真と本稿のこけしでの共通点は、胴模様の菱菊の上部の横菊で、中央の花弁が立って、左右の花弁が寝ている点で、これは佐藤俊雄の胴模様にも見られる。また、本稿のこけしでは、頭の形が蕪型で前髪の後部に膨らみがある点、胴の茎・葉の描法が複雑である点などは健三郎と良く似ている。従って、健三郎と俊雄の特長を引き継いでおり、高野叔夫と考えて良いであろう。製作時期は、緑色がポスターカラーである点などから、昭和20年代末から30年代初め頃ではないかと思う。

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