第669夜:久志のペッケ(戦前、戦後)
久志の戦前作(昭和15年)は第486夜で尺物を紹介した。初々しいあどけなさが残る可憐な良いこけしである。さて、本稿のこけしは、胴底に張り紙があり、「昭和16年3月、村松百兎庵頒布品」と思われる。ただ、「村松百兎庵頒布」についてはよく分からない。
写真(2)右が本稿のこけしで、左は昭和30年代前半のこけし(6寸)。同じペッケでも、大きさが倍も違うと、3寸こけしはかなり小さく感じる。大きさのせいか、胴の絞りが左ほどではなく、程よい膨らみを持った姿が何とも美しい。眉・目は左右がかなり接近し、一筆の鼻、二筆の口も顔の中央に寄っているが、キリッとした表情である。上部が接近した3筆の裾線も古風さを滲み出している。一方、左のペッケは6寸という大きさのためか、胴の括れ下部が大きく丸みを帯びている。これはこれで大きさに合った良い形だと思う。表情は顔の下の方に描かれた瞳が大きく、実に愛らしいこけしに仕上がっている。戦前、戦後も30年代迄は、いかにもペッケの醍醐味を満喫させてくれる小寸こけしである。
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コメント
久志さんのペッケ。
「可憐」という表現がぴったりですね。
今、手元に久城さんの作品を持ってきて一緒に眺めています。
そこはかとない幸せを感じております。
貴重な作品に出会える国恵志堂さんのブログ、いつもワクワクします。
ありがとうございます。
投稿: ピノ助 | 2012年2月12日 (日) 10時57分
ピノ助様
いつもご覧頂き、またコメントもありがとうございます。
弥治郎系のペッケは可愛いですね。
久城さんは久志さんの息子なので、良く似ていると思います。
新山一家の各工人さんのペッケを比べて見るのも面白いものです。
投稿: 国恵志堂 | 2012年2月13日 (月) 18時06分