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第681夜:福寿作か?

Fukujyu_s27_4sun_kao

10日に締切のあったヤフオクに1本の小寸こけしが出ていた。大きさ12cm(4寸)、署名は無く、胴底に「27.10.29 鳴子にて」という購入者の覚書がありますと出品コメントが付いていた。そのこけしは形態から言って「高勘」系であることは間違い無く、昭和27年という年代も気になった。私は内心、福寿さんのではと思いつつ様子を見ていたが、誰も応札する気配はなく、500円の出品価に対して520円で落札出来てしまった。そのこけしが今日届いたので、改めて眺めてみたいと思う。口絵写真は、そのこけしの顔アップ。

福寿さんのこけしは昭和25,6年頃からのものを持っているが、20年代のこけしには左(向かって右)の眉・目に特徴がある。左眉が右より長く、眉尻が横に流れることと、左目尻が右の目尻より下がることである。出品されていたこけしには、その特徴が見られることから福寿作ではないかと思ったのである。

Fukujyu_s27_4sun_2hon

写真(2)の右が本項のこけしで、左は「鳴子町 高橋福寿作」と署名のあるもの(6寸)。面描は異なるがその木地形態から勘治型と思われる。福寿さんが有名な高橋勘治の大寸こけし(西田勘治)を目にして、その写しを作ったのは昭和27年3月のこと。以来、盛さんを始め盛雄、福寿の両名も勘治型を作るようになったのである。そのような事情から、写真(2)の左のこけしは昭和27、8年頃の作ではないかと推測される。こうして2本並べて見ると、かなり雰囲気の似たこけしであることが分かると思う。

Fukujyu_s27_4sun_hikaku

写真(3)に当時の高勘の主要工人のこけしと福寿さんのこけしを示す。左から盛、盛雄、松子さんのこけし(但し、昭和30年代)。右2本は福寿さんの30年代前半のこけし。先ず気付くのは、福寿さん以外のこけしは前髪が額に垂れて描かれること。福寿さんは小寸用の振り分け髪でも頭頂部に近く描かれている。福寿さんの鼻は右2本のような丸鼻が一般的であるが、中央の勘治型は垂れ鼻風であり、本項のこけしと同じである。恐らく、昭和27、8年頃のみこの形の鼻が描かれたのだと思う。胴模様の楓も、右から2番目の楓と同様の描法と言えるだろう。なお、胴の緑色は当時一般的に使われていたポスターカラーの明るい緑が使用されている。このような考察から、本項のこけしは福寿作にほぼ間違いないと思う。最近、福寿さんのこけしは安価に入手出来るようになったが、「高橋福寿」の署名があると高くなるようだ。本項のこけしには署名がなかったことが幸いして、ワンコインで入手できたものと思う。こういうこけしを発掘するのもヤフオクの楽しみの1つであろう。

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