第684夜:洋一さんの善吉写し
写真(2)は善吉(小)3寸1分の「原」(左から3本目)とその写し。善吉(小)の解説は第451夜を参照されたい。小寸ながら、今回の3本の中では一番善吉らしい迫力のある目をしている。また、口の中の赤点が半分ほどで舌を出しているようにも見え、小生意気な表情に見えるが、その点も洋一さんは良く写している。
写真(3)は善吉(中)5寸2分の「原」(左から3本目)とその写し。善吉(中)の解説は第452夜を参照されたい。おっとりとした表情のこけしである。右目の眼点が外よりで視線は定まっていない。こういう点も洋一さんはしっかりと写している。
写真(4)は善吉(大)8寸の「原」(左から3本目)とその写し。善吉(大)の解説は第453夜を参照されたい。この時期の善吉を洋一さんは以前にも作ったことがあると言う。目は大きくなく視線は下を向いていて哀愁を帯びたような表情である。洋一さんは寂しげな表情に見えると話しており、そのまま写すことに躊躇されたそうだ。だが、出来上がったこけしは見事に善吉の微妙な表情を再現していた。良い写しが出来たと思う。
| 固定リンク
「写し」カテゴリの記事
- ★「柿澤是伸特別頒布会」当選者発表!(2015.06.11)
- ★千夜一夜完結記念「柿澤是伸特別頒布会」(募集終了)(2015.05.27)
- 第995夜:柿澤是伸実演・販売会(2015.03.19)
- 第991夜:今年最初の落穂ひろい(平賀貞蔵)(2015.01.12)
- 第990夜:「日本の郷土玩具」展(2015.01.10)
「土湯系」カテゴリの記事
- 第990夜:「日本の郷土玩具」展(2015.01.10)
- 第988夜:二代目虎吉のこけし(2015.01.05)
- 第984夜:初期作の味わい(勝英)(2014.12.21)
- 第983夜:42年の弘道こけし(2014.12.19)
- 第981夜:友の会12月例会(H26年)(2014.12.14)
「古品」カテゴリの記事
- <番外>こけし談話会(2015.05.11)
- 第1000夜:ステッキこけし(小関幸雄)(2015.04.19)
- 第999夜:極美古品(伊豆定雄)(2015.04.13)
- 第998夜:佐藤慶治のこけし(H27花見)(2015.04.01)
- 第997夜:鶴松のこけし(2015.03.28)
「中の沢亜系」カテゴリの記事
- 第912夜:橘コレクションのこけし(酒井正進と安藤良弘)(2014.03.01)
- 第854夜:瀬谷重治のギボシ(2013.09.11)
- 第853夜:幸治さんの近作(2013.09.09)
- 第744夜:本多信夫のこけし(2012.07.20)
- 第733夜:瀬谷幸治の芳蔵本人型(2012.06.27)
「原作と写し」カテゴリの記事
- 第904夜:今年最初の新品こけし(正吾作武蔵写し)(2014.01.16)
- 第796夜:正司さんのムメノ写し2種(2012.12.27)
- 第789夜:正吾さんの武蔵(昭初)写し(2012.11.30)
- 第767夜:正司さんの吉太郎写し(5)(2012.10.01)
- 第750夜:正司さんの吉太郎古作写し(2)(2012.08.15)
コメント
わ~たこ坊主いっぱい!
可愛いなぁ。いいな~。
先日、土湯のアサヒ写真館さんに行って「たこ坊主の小寸ものが欲しい」旨告げたら「4月のこけし祭りには荒川さんの小寸ものが並べられると思う」との事でした。
早く行って入手せねば!
クリクリお目々も可愛いけれど私は目をつぶった「ボー」としたタイプが好きです。
投稿: ピノ助 | 2012年3月19日 (月) 10時48分
ピノ助様
そうなんですか。
それでは土湯こけし祭りに、この小寸たこ坊主が出るかも知れませね。
一筆目のたこ坊主はまた別種の可愛らしさがありますね。
投稿: 国恵志堂 | 2012年3月19日 (月) 17時55分
僕が初めてたこ坊主を見たのは、中学生の時に友人の家に置いてあったヤツ(作者は誰だか判りませんでしたが)でした。正直言って一目見ての感想は「何?、これ」でした。その後も福島にドライブに行った折りに店に飾っているのを見たのですが、初見の時の印象のせいか購買心が湧きませんでした。今思えばまだまだこけしというものに対しての理解心が足らなかったのでしょう。そのあとこけしの収集に本腰を入れて色々な見聞や実物にふれるようになってやっとたこ坊主の真価というものが少しながら判って来た感じがするようになっています。ちなみに去年のゴールデンウィークに会津にドライブにいった帰りに磯川盛雄さんの工房に寄って、8寸のたこ坊主を入手してきました。とても愛嬌があって可愛いと思います(その後磯川さんからは須賀川の松木型こけしも購入させて頂きました。このこけしは小生のお気に入りのひとつとなっています)。
投稿: 益子 高 | 2012年3月19日 (月) 21時42分
荒川さんの善吉写し、こうして原と並べて見られることで、筆致や全体の印象まで見事に写されていることがわかり、誠実な作りに感動しました。
貴重な機会、ありがとうございます。
ところで、善吉の原もそうですが、柾目をこけしの正面に持ってくる工人さんが多いと思いますが、荒川さんのは板目の方が正面に来ているものも多いですね。
単純に、一番綺麗なところを正面にしているのか、気になるところです。
うちにある荒川工人のこけし2本も見てみると、板目が正面になっていました。
投稿: suntronix_fuga | 2012年3月20日 (火) 03時06分
益子様
たこ坊主というと大きい目に赤い隈取りのある迫力のあるものが代表的ですが、鳴子や遠刈田などの一般的なこけしとはかなり印象が違いますね。そこに最初は違和感があるのかも知れません。そういう目立つたこ坊主だけでなく、今回の8寸のような静かなたこ坊主も別種の趣があって良いものです。一口にたこ坊主と言っても、色々なものがあって楽しいですね。
投稿: 国恵志堂 | 2012年3月20日 (火) 12時29分
suntronix_fuga様
柾目と板目の件は気が付きませんでした。他のこけしを見て見ましたが、確かに柾目正面が多いですね。洋一さんのは今回の作品と他の作品を見てみましたが全部、板目正面でした。洋一さんは意識的にそうしているのでしょうね。機会があったら聞いてみたいものです。
投稿: 国恵志堂 | 2012年3月20日 (火) 13時06分
初めまして。
こけし歴1年ちょっとの初心者です。
この洋一さんの善吉写し、
余りの素晴らしさに心動かされ、
衝動的に今日、荒川洋一さん宅を訪問してしまいました。
おかげさまでとても楽しい時間を過ごすことができました。
こけし千夜一夜に感謝!です。
ありがとうございました。
投稿: mu1300 | 2012年3月20日 (火) 22時30分
mu1300様
はじめまして!
そうですか。もう洋一さんの所へ行かれましたか。
あの善吉写しは洋一さんも苦労して作られたので、色々と裏話なんかも聞かれたのではないですか。直接話が出来て羨ましいです。
洋一さんは本当に良いこけしを作ってくれたと思います。
今後とも、よろしくお願い致します。
投稿: 国恵志堂 | 2012年3月20日 (火) 23時04分