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第690夜:作田栄利のこけし(2)

Eiri_61sai_kao昨夜の新太郎と同時に作田栄利のこけしもヤフオクで入手した。胴底には本人署名で61才とある。このこけしと同じ61才作の栄利こけしが「こけし往来(第38集)」の即売に掲載されており、1万を超える値が付いている。保存状態なども含め、相応の評価がされているということだろう。栄利こけしについては第569夜に戦後のピーク期と言われる56才作を紹介したが、今夜は61才作を紹介しようと思う。口絵写真は、その表情である。

Eiri_61sai_hikaku

写真(2)右は56才作の6寸、左が本項のこけし(61才)5寸である。保存状態はあまり良くなく、緑の色がかなり退色している。栄利こけしの経年変化を記している「木の花(第弐拾六号)」を見てみよう。右のこけしは「木の花」解説の①に相当するもの。内容は第569夜を参照されたい。②は34年8月、62才作とある。以下、解説を引用しよう。『ビン飾りが①のように弧を持って描かれていたが、32年頃よりビン飾りのふくらみがなくなり、前髪の先端より直線的に描かれ、顔が狭まる。ピンも当然圧迫されて内へ入り目より下にさがる。胴模様の菊も下側がすぼまり重菊が立って小さくなる。頭の形はやや縦に長いが、面描の関係で、平たく下脹のように見える。一風変わった印象のこけしである。このビン飾り等の特徴点は急に現れ、この年で突如終わる。』と。本項のこけしも、この解説通りのこけしである。右との比較でやや補足するとすれば、本項のこけしは顔の面積が狭まった分、眉の湾曲が大きくなり、目も小さくなっている。右のこけしは強い表情であるが、本項のこけしは下脹れで鼻と口の間隔が離れているため、ややとぼけた表情にも見える。

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