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第689夜:新太郎のこけし(戦前~戦後)

Tunekawa_sengo_kao南部系の常川新太郎のこけしは、昭和40~50年代のこけしブームの頃を経験した収集家にはあまり注目されなかったのではないだろうか。特に戦後の新太郎のこけしはいつでも入手できるような状態であり、その安心感からかコレクションの一員に加わることもなく時は過ぎていった。しかるに、新太郎は昭和56年に亡くなったこともあり、最近は人気が出てきたようで、先日届いた「こけし往来(第38集)」に掲載されている即売品も結構な値が付いている。その新太郎の戦後のこけしがヤフオクに出品されたので応札して入手したが、やはり相応な金額になってしまった。今夜は、その新太郎のこけしを戦前~戦後を通して見直してみたいと思う。口絵写真は戦後の新太郎こけしの表情である。

Tunekawa_sengo_hikaku

写真(2)は、左から戦前作の4寸と8寸(共に昭和15,6年頃か)、右から2本目(6寸5分)は戦後直ぐ、右端(6寸)が本項のこけしで戦後作であるが署名はない。これから分かるように、戦前と戦後とでは木地形態、描彩(特に胴のロクロ線)に違いが見られる。形態的には、戦前は全体的に丸みを帯びておりまろやかな感じがするが、戦後作では胴下部の丸みが直線的ですっきりした感じに仕上げっている。面描は左3本は眉・目が上方に描かれているが、右端は顔の中央辺りに下がっている。また、横鬢は戦前は長く、戦後は短めになっている。次に、胴のロクロ線模様であるが、戦前は赤、緑とも太い線と細い線の絶妙な組み合わせであったが、太線の幅が次第に細くなり、右の戦後作では殆ど同じ太さになって単調な感じになってしまった。

Tunekawa_sengo_atama

写真(3)は頭頂部の様式である。戦前の頭頂部は黒点のみであったが、右から2本目では黒点の周りに赤と緑のロクロ線が描かれており、この様式が戦後の共通様式かとも思っていた。しかし、今回入手した戦後作では黒点のみとなっており、ロクロ線が付いたものは戦後の一時期に描かれたものと思われる。

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コメント

新太郎さんのこけし、のんびり屋さんな表情が良いですね。
子供の頃、グループでは目立たなかったけれど同窓会で会ったら意外に出世していて「大器晩成型」だったのね・・・と感慨にふける。ような。

昨日は忠雄工人にお願いしていた「えじこ」を受け取りに土湯に行ってきました。
期待どうりの「ちゃめこいえじこ」とても可愛い作品でした。
最新作の8寸もとても良いお顔だったので購入。
奥さんがおまけに7寸の「髷こけし」を入れて下さっていて恐縮しました。

野地忠男さんが弘道さんの隣りにお住まいだった頃の初作に近いものなどを見せて頂き談笑して参りました。

家族の病で萎かけていた心が元気になりました。

投稿: ピノ助 | 2012年3月30日 (金) 10時58分

ピノ助様
新太郎のこけしは何かホットさせるこけしですね。気負わないで見られるのが嬉しいです。
忠雄さんのえじこは珍しいのでは? あまり見かけませんね。
こけしは癒しの人形ですから、元気を貰って良かったですね!

投稿: 国恵志堂 | 2012年3月31日 (土) 22時19分

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