« 第692夜:昭二と勇 | トップページ | 第694夜:美と系譜のこけし(実の甚四郎型) »

第693夜:昭二と実

Minoru_s30naka_kao昨夜は、桜井昭二とその弟子五十嵐勇のこけしを比較してみた。今夜は、昭二とその弟佐藤実のこけしを比較してみたい。佐藤(桜井)実は昭和7年、鳴子の生まれ。桜井万之丞の次男である。昭和20年、小学校を卒業後、父について木地修業をし、22年頃からこけしの木地を挽いていた。自身のこけしを発表のは32年からとのことで、33年発行の「こけしガイド」で初期作が紹介された。また、38年発行の「こけし手帖(50号)」で岩蔵型が、39年発行の「こけし手帖(55号)」で甚四郎型が紹介されている。父について木地修業したとは言え、実際には兄昭二からてほどきを受けたと思われ、最初は昭二が作っていた岩蔵型を作るようになったのは自然なことであったと思われる。

Minoru_s30naka_hikaku

写真(2)は左が昭二の岩蔵型7寸(第458夜参照)で、右が実の岩蔵型6寸である。昭二のこけしは肩にウテラカシが入った後期の岩蔵型であるが表情を比較するために再掲した。昭和36年1月入手の書き込みがあるので、35年から36年頃の作と思われる。胴模様には紫色も用い、華麗な岩蔵型である。一方、実の岩蔵型は肩の山に描彩のない前期の岩蔵型である。昭二の顔は筆に勢いがあり、眉・目の湾曲は鋭角的でアクセントも出ている。気力漲る鋭い表情のこけしである。実の顔は昭二に比べて面積が広いが、眉・目は鋭角的で表情は鋭い。兄の作る岩蔵型の顔を見て、影響を受けたのであろう。昭二とほぼ同時期に作られたものと思われる。昨夜の昭二・勇といい、今夜の昭二・実といい、実に良く似たこけしを作るものだと思う。やがて、実は甚四郎型や万之条の歌舞伎こけしなど、昭二とは違った方向に進んでいくのであるが、それは次回にしたい。

|

« 第692夜:昭二と勇 | トップページ | 第694夜:美と系譜のこけし(実の甚四郎型) »

鳴子系」カテゴリの記事

コメント

日本こけし館で1寸程度のこけしながら、見事なものが売られていたので、誰のだろうとひっくり返したら実さんの作でした。いわゆるお土産こけしとは一線を画した伝統を感じる美しいものでした。もうだいぶお年を召していらっしゃいますが、ほれぼれする小寸でした。

投稿: kuma | 2012年4月10日 (火) 10時15分

kuma様
そうですか。そんな小さな物を!
実さんは昭和7年生まれなので、もう80歳ですからね。
小さい物を作るのは大変だと思いますが、根っからの木地師なんでしょうね。少しずつでも良いから長く作り続けて欲しいものです。

投稿: 国恵志堂 | 2012年4月11日 (水) 08時39分

コメントを書く



(ウェブ上には掲載しません)




トラックバック

この記事のトラックバックURL:
http://app.cocolog-nifty.com/t/trackback/188678/54374400

この記事へのトラックバック一覧です: 第693夜:昭二と実:

« 第692夜:昭二と勇 | トップページ | 第694夜:美と系譜のこけし(実の甚四郎型) »