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第696夜:健三郎71歳

Kenzaburo_71sai_tatiko_kao東京近郊の桜も満開から散り始めとなり、これから新緑に向けて一年で一番良い季節となる。私は新緑のいかにも生命の息吹を感じさせる淡い緑色が好きである。さて、今夜は先日入手した大沼健三郎の立ち子を紹介したい。ここのところ鳴子系のこけしが続いており、少々食傷気味で飽きられているかも知れないが、勘弁願いたい。「木の花(第拾九号)」に『ピーク期のこけし』として掲載されているものと同型のものである。口絵写真は、その表情である。

「木の花」の記事では、③として71歳作の4寸立ち子が掲載されており、以下のような解説がされている。『写真③はピーク最盛期の71歳作、4寸の立ち子である。まず、完璧な木地の姿が目につく。面描、胴模様とも秀逸で申し分ない。リズミカルに、それも非常に速い筆致で流れるように描かれた面描は、ピーク期特有の緊張感をみなぎらせた表情を作っているが、一筆目のおかげで可憐さが加わり、古風な中に明るさもあって、見る者の心をつかんで放さない。また、胴模様は一分のすきもなく収まり、すばらしい表情と渾然一体となって一層の効果をあげている。』

Kenzaburo_71sai_tatiko_hika

写真(2)右が本項の71歳立ち子4寸で、左は同じ71歳の通常型のこけし(第561夜参照)である。木地形態は「木の花」で述べられている通り、胴模様は車菊なのでやや印象は異なる(「木の花」は菱菊)。面描はほぼ同じで、眉と目にはピーク期特有のアクセントが出ている。しかしながら、横鬢は全く違う。本項の立ち子では3筆から4筆の細い黒線を赤と黒の点で結んでおり、赤点は更に鬢上部にも付けられている。このような形式の鬢は健三郎のみならず他の工人でも類例を思いつかない。小寸なのでそれなりにマッチしているが、やはり通常の鬢の方がしっくりする。

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