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第694夜:美と系譜のこけし(実の甚四郎型)

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昨夜は佐藤(桜井)実の岩蔵型を取り上げた。岩蔵型は兄昭二の代表作であり、弟子の五十嵐勇も作っている。そのまま岩蔵型を続けて行くのか、実は悩んだことだろう。その実が叔父である甚四郎の型を作るようになった事情は良く分からない。ただ、「こけし手帖(50号)」の実紹介記事の中で、兄昭二の言として『・・・、最近はとてもうまくなり、手すじは父(万之条)の兄である大沼甚四郎によく似ているように思う』とある。こんなところから誰かの勧めもあって、甚四郎型に挑戦しだしたのであろう。甚四郎型の復元は昭和38年からで、深沢コレクションの甚四郎を追求したものだと言う。翌39年の第6回全日本こけしコンクールで実の甚四郎型は日本放送協会賞を受賞する。この受賞で、実の名前もこけし界に知れ渡るようになり、以降、この甚四郎型が実の代表作となったのである。口絵写真は昭和40年の甚四郎型の表情である。

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写真(2)左が本項のこけし(8寸)で、右は昭和39年の甚四郎型6寸である。「こけし 美と系譜」の76番に実の甚四郎型の写真が載っている。大きさ8寸、昭和40年の作とある。巨頭で小振りな一筆目の若々しいこけしであり、欲しいこけしの1本であった。左のこけしは、面描、胴模様ともほぼ同じであり、同時期のこけしと思われる。右の39年作では、頭がそれ程大きくなく、顔はかなり上方に描かれ、胴の菊花の花弁数が多いことが、40年作との違いと言えるだろう。また、39年作と思われる「こけし手帖(55号)」と写真(2)右のこけしは胴の細い赤ロクロ線が上下とも2本であるが、40年作の「美と系譜」と写真(2)左のこけしの細い赤ロクロ線は上が1本で下が2本となっている。このことから、「愛こけし(改訂版)」の87頁左端に掲載されている実の甚四郎型は、(昭35頃)となっているが、(昭39頃)と思われる。実は、愛好家からの要望もあってか、その後、各種の甚四郎こけしを復元して、甚四郎型の第一人者となるのである。 

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