第709夜:安太郎のこけし(戦後)
昨夜も触れた「こけし手帖191号」の『鈴木安太郎を偲ぶ』によると、戦後の安太郎は昭和30年、しばたはじめ氏のすすめによりこけし製作を開始し、家業(棺屋)を息子の晃悦にまかせて、こけし作りに専念したとある。こけしブームの到来とともに愛好家の注文や他の工人のこけしの影響もあって、安太郎は自身のこけし製作に迷いを生じ、それと共にこけしも変化していったようである。土湯系に似た線描き胴太のこけしを作ったりしたともある。

写真(2)に手元にある戦後の安太郎のこけしを並べて見た。右端は昨夜紹介した戦前の安太郎。右から2本目は昭和34年の6寸2分。頭が丸くなり面描に力強さがなくなったが、まだ戦前の名残を感じさせるこけしである。右から3本目(3寸1分)、4本目(4寸)は作り付けで35年3月の書込がある。たった1年で全く変わってしまった。頭は小さく胴は太くなって形が良くない。面描、胴の花模様ともちまちましたものとなり安太郎らしさが失われてしまった。右から5本目(36年8月)は作り付けの4寸6分で、手帖に書かれていた土湯系の地蔵型を模したものであろうか。この3本は、こけし作りに迷っていた頃の作品なのであろう。左端は74歳(44年)の5寸3分。これは戦前作を模したものであろうか。面描は異なるものの、木地形態や胴のロクロ線、ぼってりとした花模様は戦前作を彷彿させるものである。
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コメント
こけしの顔の好ききらいは、本当に人によって様々。
またそれが収集する方の個性も表れ楽しいですものね。
昨夜の安太郎のお顔の方が、私は好きでした。
同じ作者でも、年代によって猫彩が変わってくるのも
こけしを買う楽しみなのだな、と、
このブログに来るとしみじみ感じます。
投稿: kuma | 2012年5月24日 (木) 11時48分
kuma様
こけしを集め始めて暫くすると、自分の好きなこけし、好きな工人が出来てきますね。そうすると、その工人の色々な型や模様を集め、やがて古いこけしも手に入れたくなる。そうして、色々な時期のこけしが集まってくると、そこでまた特に好きなものとそうでもないものが出てくる。同じ工人のこけしでも作られた時期によってかなり変わることもあります。戦前、戦後と作っている工人の場合は特に変化が激しいですね。こけしはそれが作られた時代と無縁とはいきません。こけしを見ることで、その時代背景に想いをはせるのも楽しいものです。
投稿: 国恵志堂 | 2012年5月24日 (木) 23時49分