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第731夜:芳蔵本人型(戦前)

Yoshizo_honnin_senzen_kao先週のヤフオクには、久し振りに戦前の良品が出品され、その争奪に熱い戦いが繰り広げられた。その結果、貞蔵、広喜、謙蔵、丑蔵などが高値で落札された。私もそれらに食指が動いたものの、そこはぐっと我慢して、今回は中の沢に集中して応札し、芳蔵と正進を何とか入手することが出来た。そのこけしが届いたので、今夜は先ず芳蔵から紹介したいと思う。口絵写真は、戦前芳蔵の表情である。

戦前の芳蔵は善吉型を作っていないので、全て本人型ということになる。戦後の本人型については第163夜と209夜で目の描法の異なる2作を紹介した。同じ本人型であっても、戦前と戦後の作とでは雰囲気も異なり、何とか戦前の本人型も手に入れたいと思っていたので、良い機会であった。

Yoshizo_honnin_senzen_hikak

写真(2)に戦前と戦後の芳蔵本人型を示す。左は第163夜で紹介した戦後作(8寸2分)、右が本稿の戦前作(9寸9分)である。戦後の本人型は直胴が多いが、戦前作は肩がコケ、胴も括れたものも多い。胴模様も、戦後は牡丹を縦に並べただけであるが、戦前は牡丹を重ねたりして模様に変化を付けている。そして一番の違いは、やはり顔の表情であろう。戦後作はあどけなく愛らしいがちょっと弱い感じも漂う。一方戦前は、眉太く、上下の瞼の描線にも勢いがあり、溌剌とした若さが感じられる。

Yoshizo_honnin_senzen_bin

写真(3)に頭部の蛇の目模様と横鬢の違いを示す。戦前作の頭頂部は、真ん中の黒い円形が大きく、その回りに赤い輪を細めに入れているが、戦後作では真ん中の黒円は小さくなってその外側の赤い輪がやや大きくなり、黒円との境目には緑のロクロ線が入る。鬢に至っては、下部を赤いリボンで結んだお下げ髪状となる。技巧的になったと言えるのかも知れない。

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